新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本政府は計111カ国・地域への渡航中止を勧告しており、事実上の「鎖国状態」にある。しかし、貿易立国の日本がいつまでも鎖国状態を続けるわけにはいかない。官房長官の菅義偉も6月1日の記者会見で入国制限の緩和を検討する考えを示した。
「途上国を中心に警戒が必要な状態が続いているが、国際的な人の往来の再開に向けた検討も重要だ。適切なタイミングで総合的に判断していきたい」
この背景には経団連をはじめ往来再開を求める強い要望がある。経団連幹部は「海外にある現地法人の駐在社員や出張者が行けずに困っている」と語る。日本企業と密接な関係にある中国との往来再開への要望は特に強く、航空業界関係者によると、中国便が再開された場合の座席を確保するため、相当数のキャンセル待ちが発生しているという。
入国緩和に関しては相互主義の原則があり、「日本と同程度の感染状況の国との往来を再開させる」(外務省幹部)というのが基本だ。さらに往来できる優先順位が設定されている。第1陣はビジネスマン、次いで留学生、そして最後が旅行客だ。