抜け駆けとカルテルのはざまで揺れ動く自主規制

いまだ適正化に向けたゴールが見えない、代理店への手数料問題。生命保険業界に改めて突き付けられているのは、手数料の「質」だけではなく「量」の問題だ。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)

厳しさが増す金融庁の視線

 6月中旬、大手の明治安田生命保険が部会長を務める業務企画部会は、わずか15分足らずで会合が終わった。

 コロナ禍で膝詰めの議論が難しい状況にあって、足元の課題の確認にとどめたのかと思いきや、その後各社に配布された資料の内容はかなり重いものだった。

 乗り合い代理店を中心とした手数料設定やインセンティブ報酬について、いまだに問題事例が散見されることから、経営を監督する金融庁が業界に、指針の見直しを強く求めているという内容だったのだ。