岩手県は驚くべきことに、現時点でも新型コロナウイルスの発症例がない。ある岩手県の温泉旅館が6月から週末だけの営業で再開はしたものの、その週末だけでも最大収容人数の4分の1ほどの集客にとどまり、営業黒字化できるほどの集客にはなっていない。岩手県でもキャンペーンの実施が望まれるが、いっそ対象を岩手県民に限定せずに、青森・秋田・山形などと協調すれば、より大きなマーケット、すなわち「マイクロ」を、より大きな「ミニ」に格上げできないだろうか。
この場合、東京や大阪などの大都市を近くに持つエリアのホテルでより大きな効果が望めそうでもあるが、実は一部にはその大きなマーケットを持つがゆえの悩みもあるようだ。ホテル業界はもともと食中毒問題やノロウイルス問題への意識が高く、感染予防にはかなり敏感で厳しい姿勢を持っている。その中で、「不特定多数」と捉えられがちの東京や大阪といった巨大マーケットから旅行客が流入することへの警戒感も、受け入れ側に見え隠れする。
利用者側とホテル側の両者の警戒感が雪解けするにはまだまだ時間もかかるが、少なくともこの冬の第二、第三の危機を乗り越えなければ、ホテル業界の復活への道筋も見えてこない。
営業日限定、朝食の中止、外注削減…
まずは現状にあった「ダウンサイジング」を
どこも経営環境が厳しい今、各施設に求められるのが、オペレーションのダウンサイズだ。コロナ前までの人員体制のままでは、人件費率が非常に悪くなるのは当然で、現在の収容人数や稼働率に見合った人員体制にダウンサイズする必要がある。
そのためにまず行うべきなのが、外注費の削減だ。これまで客室清掃や食器洗浄やレストランのサービスなどを外注していたなら、それを「内製化」する。スタッフ(正社員)のシフトを部署ごとで縦割りにするのを廃止し、同時に業務分掌もマルチタスク化する。彼らがこれらの業務を担うことにより、業務委託費を大きく削減できる。実施にあたって、事前にスタッフとの相互理解は必要だが、企業存続のために実施すべきだ。