アラート再発令の必要性を問われたものの
記者の質問に答えない小池知事

 だが、「夜の街」への集中検査という要因はあるにせよ、6月中旬以降、1日の新規感染者数が40~60人程度に増加。夜の街ではない職場などの感染者も発生している。6月19日の記者会見では、「昨日の感染者数は集団検査を含まない分で41人だった。いま一度、このアラートを発動する必要性もあると感じる」との報道陣からの質問も出た。

 だが小池知事は、東京アラートの意義について、「都民や事業者に警戒を呼びかけるということについても、これまで、1回、赤いアラートを鳴らせていただいたわけでございますが、そういった際には警戒、アラートは警戒という意味ですから、それを呼びかけてきたわけでございます」と、なぜかアラートを“日本語訳”しただけで、それ以上のことは語っていない。

 その上で「今後、第2波へ備えるという意味で、市中感染が大きく広がっていくことが危惧される状況になった場合には、都民や事業者の皆さまに警戒を呼びかけるという事態も想定されております」としながらも、「現在は指標の内容と同時に、都民の皆さまや事業者に対する呼びかけのあり方についても、改めて専門家の意見もうかがいながら検討しているところで、まずはモニタリングもしっかりと継続し、新しいモニタリングのやり方なども含め、専門家のご意見をうかがいながら進めることになろうかと思います」と述べた。

 要するに、基準の見直しの途中であるとの説明を繰り返しただけで、記者の質問にはまるで答えていないのだ。都民に感染予防の必要性を「しっかりとお知らせをする」と語った東京アラートの意義や目的は、一体何だったのだろうか。

 東京アラートの“伏線”は大阪にあった。大阪府は国の緊急事態宣言発令中の5月8日から独自に休業や外出自粛を見直す「大阪モデル」の運用を開始。こちらは単純に、(1)感染経路不明の新規感染者数が10人未満、(2)PCR検査の陽性率が7%未満、(3)重症患者の病床使用率60%未満――の3条件が7日連続で達成されることを条件とした。

 また達成度合いに応じて11日から、大阪府吹田市の万博記念公園にある「太陽の塔」と、大阪市浪速区にある通天閣を赤、青、黄色にライトアップした。