休業要請基準とアラートは無関係
発令から10日であっさり廃止
5月15日 東京アラートと、休業要請のSTEP0~3など「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」の骨格を発表
6月2日 東京アラート発令
6月11日 東京アラート廃止
6月12日 休業要請をSTEP2から3に緩和、小池百合子知事が再選出馬を表明
6月19日 休業要請を全面的に緩和
6月30日 感染状況の新しいモニタリング基準を発表
7月2日 都内で107人の新規感染者を確認
東京アラートの仕組みが発表されたのは5月15日の小池知事の定例記者会見だった。小池知事は「状況の変化を的確に把握し、必要な場合には東京アラートを発動いたします。これは、いろいろな数値について、いい数値が出てきたと思って、昨日のようにまた(新規感染者数が)30人で、逆戻りする場合には、しっかりと皆様にお知らせをするということで、東京アラートを鳴らすことといたします」と話していた。
一方で都はこの日、6月末に廃止されたモニタリング指標の骨格を公表。(1)1週間当たりの新規陽性者数、(2)1週間当たりの新規陽性者のうち接触歴が不明な人の率、(3)週単位の陽性者増加比、(4)重症患者数、(5)入院患者数、(6)PCR検査の陽性率、(7)受診相談窓口の相談件数――の7つの指標のうち、事業者への休業要請について、(1)が20人未満なら緩和、50人以上だと再要請、(2)が50%未満だと緩和、50%以上だと再要請、(3)1未満だと緩和、2以上だと再要請――としていた。また、都民の外出自粛、事業者の営業自粛をSTEP0~3に分けて要請する考えも示された。
ややこしいのは、(1)~(3)の基準だけでなく、入院者数や重症者数などの医療提供状況も勘案して「総合的に」判断されるというものだった。実際、5月中に(2)(3)が基準を超えたが、感染状況の把握が困難でないとして発令を見送り、6月1日にSTEP1から2に休業要請を緩和している。
東京アラートが実際に発令されたのは6月2日。同日の新規感染者が34人確認されたことを踏まえ、警戒を呼び掛けるものだった。
ところがアラートは結局、6月11日に解除され、今後は発令されないとして廃止となった。そして12日には休業要請の基準もSTEP2から3に緩和した。12日の記者会見で小池知事は、新規感染者が減少していたことを念頭に「新しい環境に、新たなステージに入るということから、それにふさわしい体制をつくっていくということになります」と説明。その「新たなステージ」の基準が6月30日に示されたのだ。