電話でもサインを読みとれる

 電話で話している場合は、当然、相手がどんな姿勢をとっているのか、どんなしぐさをしているのかわからない。とはいえ、じかに姿を見られなくても、こちらの話にどのくらい関心をもっているのか、その程度を推しはかることはできる。

 おもな手がかりは、口調や息遣いだ。

 話し方は一本調子で、いかにも関心がなさそうだろうか。いかにもワクワクした口調で、話すペースは速くなっているだろうか。呼吸の回数は減っているだろうか。電話を切りたいというシグナル(「はあ」とか「ええ」とか言った相槌を繰り返すだけなど)を送っているだろうか。電話で話をしている最中に、なにかほかのことをしている音(パソコンのキーボードを叩くなど)が聞こえてくるだろうか。イライラと指でなにかを叩く音が聞こえてくるだろうか。

 こうしたサインはどれも、あなたが電話を切るべきか、ここで踏ん張るべきか、あるいはもっと会話を盛りあげるべきかというヒントを示している。

相手に心地よさを与える

 私たちの脳は相手が自分の行動を真似ていることを、あまり敏感に察知しないため、いま自分が心地よくすごせているのは、目の前の人と一緒にすごしているからだと考えるようになる。これが、ふたりのあいだの協力関係の基盤となる。ミラーリングされると、話している相手にポジティブな印象をもち、これからも交流を続けていきたいと思うようになるのだ。

 とはいえ、相手のしぐさやふるまいのすべてをいちいち真似する必要などないことは、肝に銘じてもらいたい。まずはごく自然に感じられて、自分にとっても無理のないものをいくつか選ぼう。

 たとえば、ふだん、テーブルを指でトントンと叩く癖があなたにまったくないのであれば、突然、そんな真似をしたところで、ぎこちないしぐさになるだけだ。だから、できるだけ自然に見える動きをすることを心がけよう。こうしたちょっとした工夫を重ねれば、あなたは優位に立てる。

 そのためには、頭のなかの邪念を追い払って会話だけに全神経を集中させる練習をしよう。ふだんから練習を欠かさないからこそ、いざというときに、相手のふるまいや口調を的確に真似できるようになるのだから。

(本原稿は『超一流の諜報員が教えるCIA式 極秘心理術』(ジェイソン・ハンソン著、栗木さつき訳)の抜粋です。本書では「マッチング」と「ミラーリング」の「3ステップ」を紹介しています。)