近年、中学受験では「大学付属校」人気が高まり、激戦となっています。「早慶GMARCH」「関関同立」をはじめとする、人気の「付属中学」の合格を勝ち取るにはどうすればいいのか?
実は、付属校の入試問題は、「御三家」を頂点とする進学校のような難問があまり出ないので、大手塾で落ちこぼれたり、偏差値が20足りない子でも、付属校に“特化した”勉強をすれば、「逆転合格」できる可能性は高いのです。特に、夏休みは、子どものモチベーションを上げ、学習定着率の高い勉強法を実行すれば、逆転のチャンスにもなります。
早慶中学合格率80%、大学付属校合格率100%を誇る「早慶維新塾」塾長の野田英夫氏の話題の著書「中学受験 大学付属校 合格バイブル」の中から、子どもの「やる気」に火をつけ、学習定着率を飛躍的に高める「野田式勉強法」の一部をご紹介します。
授業を受けているだけでは、5%しか身につかない
受けた授業が身につかなければ、せっかくの時間が無駄になってしまいます。実は、同じ授業でも取り組み方を変えるだけで、その効果は何倍にもなるのです。
上の図を見てください。これは、アメリカ国立訓練研究所(National Training Laboratories)が発表している「平均学習定着率(ラーニングピラミッド)」と呼ばれるもので、勉強方法による学習の定着率を表したものです。学校や塾で当たり前となっている「講義を受ける」の定着率は、なんと5%しかありません。その対極にあるのが90%の定着率となる「人に教える・説明する」です。
たとえば「世界一の教育」と呼ばれるオランダの学校では、1年生から3年生、4年生から6年生といった異なる学年でクラスが組まれ、「わからない子には、上級生などわかる子が教える」のが当たり前。「人に教える」学習法になっているのです。「早慶維新塾」と「早慶ゼロワン」では、この「人に教える・説明する」方法を「A・Oラーニング(Aggressive Output Learning)」と名付け、大切にしています。
授業を始める前に、先生は生徒に、
「今日の授業の最後に、今日先生が解説したことを説明してね」
と伝えます。
たったこれだけのことなのですが、生徒の集中力は格段に高まります。「ちゃんと授業を聞かなければいけない」という意識になるからです。アウトプットを意識すると、よりインプットできるようになる。それは授業をする上で、日々私たちが感じていることです。さらに、慣れてきた子には、「ポイントを三つに分けて説明してね」と伝えておきます。これは大人でも難易度が高いのですが、「A・Oラーニング」が身についてくると、できるようになります。
この「声かけ」で子どもが塾の授業に集中する
この方法は、ご家庭でも使えます。お子さんが塾へ行く前に、「今日塾で習ったことを、帰ったらママ(パパ)に教えてね」と伝えておきます。そして帰ってきたら、塾での勉強の内容を子どもに解説してもらうのです。これは定着率を高めると同時に、授業のよい復習にもなります。授業の「受けっぱなし」を防ぐことにもなるからです。もちろん学校の授業でも同じです。「今日理科で習うこと、帰ったら教えてね」と言っておけば、お子さんはその授業を集中して聞いてくるはずです。
この方法が使えるのは勉強だけにとどまりません。
たとえば、修学旅行、移動教室、ご家庭での旅行を、さらに意味あるものにすることもできます。何も準備のないままでは、ただ「楽しかった」で終わってしまうこれらの旅行ですが、「印象に残ったことを三つ、帰ったら聞かせてね」と伝えておくと、お子さんは印象に残るものを見つけようと一生懸命になり、お土産話が盛りだくさんになるものです。
学年別でみると、低学年時は教わっていないことが多いため、どうしてもインプット量が多くなります。しかし、学年が上がるにつれ、意図的にアウトプット量を意識した勉強が必要になってきます。小6になってメインとなる過去問演習も、アウトプットを意識した勉強法といえます。模擬試験なども同様です。
「インプット3:アウトプット7」が黄金比率
親は「インプット3に対してアウトプット7」という黄金比率を意識しておくといいでしょう。最高の学習定着が期待できます。
しかし、小6になり親があせってくると、空いている時間を授業と家庭教師など、授業のインプットで埋めてしまう方が多くいらっしゃいます。これではアウトプットをする時間がなく、なかなか学習が定着しません。
受け身では学べないのが私たち。アウトプットするという目標を掲げておくことで、学習効率は飛躍的にアップするのです。