中学受験への道Photo:PIXTA

中学受験は親子で一緒に1000日間のマラソンを走るような一大イベントだ。その主体は子どもであり、ペース配分を考えたモチベーションの持続に加えて、数百万円を投じるプロジェクトでもあり、達成すべき目的とやるべきことを親がしっかりマネージメントすることが成功の決め手となる。(フォアサイト・アンド・カンパニー代表取締役 斎藤顕一)

受験の成功確率を高める3つのステップ

 人生には、進学、就職、結婚など、さまざまな意思決定の場面があります。そこに至るまでのプロセスでも、要所要所で何らかの選択をするわけですが、その際、「みんながそうしているから」「お手頃だから」という理由で安易に決めたり、不確かな情報に振り回されたりすると、「理想と現実の不一致」という状況に陥ります。

 ビジネスも受験も、まず「目的」があり、それを実現するためには「成功確率を高めるためのプロセス」があります。私がマッキンゼーで習得した「問題解決のアプローチ」は、情報収集と分析に基づいた現状認識と、有効な打ち手と資源(時間やお金)の集中投下により、企業が高い成果を上げるために開発された手法ですが、受験合格を「成果」に置き換えれば、受験生を抱える親御さんにとっても非常に有効であることがお分かりいただけるはずです。

 例えば、「5つの問題解決アプローチ」で考えてみましょう。

(1)目的を決める(家族で方向性を揃える)
(2)情報を収集する(受験校や塾の情報をできる限り多く集める)
(3)分析をする(魅力ある受験校、そのメリットとデメリット、子どもの実力と期待できる伸長などを見極め、合格確率の高い学校群を決定する)
(4)行動計画を立てる(子どもと対話しながら、具体的な行動プランを作る)
(5)進捗を管理する(成績だけではなく、子どもの状態を評価しつつ、〈4〉の軌道修正をする)

 受験を家族のプロジェクトと考えれば、親はプロジェクトリーダー(全体の戦略立案と実施サポート)、子どもはプロジェクトメンバー(具体的な施策立案と実施)です。(1)~(5)は、プロジェクトチームが団結して合格までの全体像を描くということです。これを3つのステップで考えてみましょう。

 第1に、何のために受験するのか、どういった学校を目指すのかという「目的」を明確にします。本音を語り合えば、おのずと子どもの希望や将来の職業、子どもの幸せを考える機会になるでしょう。

 第2に、子どもの現状(実力や性格)を見極め、目的を達成するには何が足りないのか、どのぐらいの資源(時間とお金、親のサポート)が必要かを書き出します。

 そして第3に、具体的な行動プラン(誰が、いつまでに、何をするのか)を決めて、スケジュールを立てて進捗を管理します。あとは、行動あるのみです。