このままでは退学・休学も……
●普通の総合大学に進学する意味合いが皆無です。後期から退学する学生が大量にいても何も不思議ではないですね。それによって部活、サークル、ゼミが成り立たなくなるようなところもあるでしょうね。私自身も特待生じゃなければ退学してました。今現在考えていることは休学です。なぜなら大学生活を送れる保証がないからです。
●私の大学はオンライン授業の開始が5月の最終週からでした。1月後半から春休みに入り、4カ月も春休みがありました。その分の施設費や授業料は返ってきません。授業が始まったと思えば、レジュメが送られてきてレポートを書くだけ。レポートを書くのはいいとして、答えが返ってこないから、成績に反映されているのかが不安で仕方ないです。子供は学校、大人はgotoキャンペーンで旅行。その中間にいる大学生は家にいて課題に追われる日々を送るしかないのでしょうか。心が限界にきています。もういっそのこと大学を辞めてしまいたいとも思います。(3年生)
●東京都でコロナが広がった事で、実習先であった病院から待ったが掛かってしまいました。私の目指す職種は病院の実習無くしては資格を取得できません。現在、病院の方も何かと問題が起きているようで、学生に構う暇も無いのかも知れませんが、私達学生はどう対応したらいいか路頭に迷っております。実家にある親の飲食店は潰れてしまい、私もバイトのシフトになかなか入れない状況です。もし、このままカリキュラムを消化できず、留年ということになれば、大学を辞めざるをえません。(東京・医療系)
オンライン賛成の声もあがる
●「1年間ずっと隔離状態で、友達すら出来ていないのに!」という新入生の気持ちは理解できます。私も1年間外にほとんど出られないこの状況を憂いています。ですが、楽観視しすぎた行動、感染者が再び増え続けていて且つ春よりも数が増えていてより危険な状態や、感染リスクを無視した、「後期からは対面授業を開始しろ」「1年間どうしてくれるんだ」「こんな事をするために大学に来たわけではない」と言い続けるのは違うと思うのです。そもそも、この状況を作ったのは大学のせいではないですし、現在蔓延っているウイルスが劇的に減少しない限りは対面授業はやるべきではないと私は思います。加えて私は喘息持ちなので他の人以上に感染するわけにはいかず、「後期からの対面授業開始」が実現されてしまった場合、私は死刑宣告をされたも同然の状況に陥ってしまいます。(青山学院大学・2年生)
●個人的にはとても助かっている部分が大きいです。私はうつ病患者で、その為に従来のシステムだと全く授業や課題についていけずに苦労していましたが、オンライン化で自分のペースで課題を勧められる時間が増え、病状をきちんと学校側に伝える時間ができ助かっています。大変だと、苦労していると皆口を揃えて言う。そんなの新しいことをしているのだから当たり前。それよりもっと先にある未来に向けて新しい時代の可能性の光に目を向けるべきではないかと思っています。わるいところに目を向けるのはもちろん大切だけれども、そこでずっと足の引っ張り合いをしている場合では無いと考えております。
●私はこのオンライン授業の期間を決して無駄にしたくないと考えております。たしかに通常の授業と比較すると失われるものはあると思います。しかしそれ以上に新たな試みとして評価されるべきところはあるのです。そこをなんらかの不快感から「オンライン授業は微妙だから対面がいい」と、二項対立的に考えるのではなく、「オンラインだと対面に比べて何が足りていないから、それをいかにテクノロジーで解決するか」に着目すべきなのです。ですがあたかも対面授業に戻るまでの“出来ない期間”とみなされて、応急処置的に扱われているのがとてももったいないと思っております。テクノロジーの進歩による遠隔での可能性を最大限まで実験することで、このコロナを少しでも有益に過ごしていきたいと私は考えています。(慶應大学)
●大学生は大学側と対立する事を望んではいません。大学対学生の構図では根本的な解決に至らないことを学生は知っています。学生も大学も苦しいなら一緒に連帯して変えたいと思っている学生もいるということも伝えてほしいです。
●体感的にはオンラインの方がいいです。今まで大学に通うのがひたすらだるくて、引きこもり体質な大学生は“強制オフライン制度”に虐げられてきました。やっと自分たちの時代が来たなと、そう思っております。zoomのチャットで気軽に教授に質問ができるので、大講義室で挙手する勇気のない人でもインテラクティブに授業が受けられます。大学の社会的側面を注視してオンラインに反対する声も大きいですが、逆にその社会的側面によって純粋に学問へと向き合う時間が減らされていたのも事実であります。
●私の学部は平時では200~300席ほどの大講義室での授業がほとんどで、多くの授業で席数が足りずに地べたで聴講する生徒がいるような状況ですので、教員と講義室を増やさない限りはとても対面授業を再開できるような環境ではありません。一方、オンライン授業では時間と場所の制約が無く学習を進められるおかげで普段よりも自分の時間が取れていますし、少なくとも私の履修している講義では教員の方々が工夫して資料の作成や課題の設定、オンデマンドでの講義配信などを行なってくださっていますし、質問フォームに投稿すれば丁寧に回答をしていただけます。そうした手厚いサポートのおかげでオンライン授業が始まってからは学習に対する意識が平時より向上していますし、精神衛生も良好です。少なくとも教員数のあまり多くない国公立大学かつ座学中心の学部に限っては遠隔授業の方が適しているということを多くの人に知っていただきたいです。(地方・国立)
大学関係者からもコメントが
●大学側としても、対面授業を再開したい気持ちはおおいにあるのですが、新型コロナウイルス感染リスクを考慮し、秋学期・後期は、「原則オンライン授業」という方針にせざるをえない状況です。特に新入生については、大変申し訳なく思っているのは、多くの大学関係者の共通見解かと存じます。最近、「小中高は学校が再開しているのに、なぜ大学の対面授業は再開できないのか」という意見・苦情が多いですが、小中高と比べると学生数と生徒数が2~3桁は違う(大学は千人単位、下手すると万人単位)/授業もそうだが、学園祭などのイベントがあると、人が過密する/長い通学時間。小中高と比べて、県またぎの通学者が多い/教室・設備数が多い、時間割・座席が固定的ではない、各個人ごとの時間割がバラバラであるため、罹患者が出た場合の、濃厚接触者の洗い出しが困難である/高齢な教員が多い/若者は無自覚・無症状で通学してくる/狭い空間での語学やディスカッション重視の授業では、飛沫による感染リスクが高い/小中高よりも、大学側、学生側のオンライン授業の環境が整っている。この春学期はいろいろあったが、受講環境は整ってきている/部活動やサークル活動などの、集団活動による感染もある。中央大学合宿所のケースがそうだった/夕方に授業をやると、まっすぐ家に帰らずに、呑みに行く(東北工業大学のケースがそうだった。キャンパス内ではなく夜の街のクラスターで、罹患する可能性がある)などの問題があります。全面的に再開したくても、出来ないのが現状です。学生や親御さんには、「声の数の多さ」では決められない点を、ご理解いただきたく存じます。(首都圏大学関係者)
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アフターコロナに、大学はどうあるべきなのか?それが今こそ問われている。東西主要大学11校の学長インタビューや、オンライン授業への各校の対応、そして今後の入試や大学選びとは。ぜひ週刊ダイヤモンド本誌で確かめてほしい。