自分たちの仕事がどのようにつながっているかを、意図的にリーダーが発信してあげることが重要です。お客様の声を伝えることもモチベーションアップにつながります。

 ただ伝えるだけではなく、他の部署と連携する業務をしてもらうようにしています。他の部署のオンライン会議に参加してもらうことも効果的です。

 私が最近意識しているのは、他の部署と連携する場に、なるべく管理職以外の方にも同席してもらうことです。そうすると、他部署との会議で何が語られているのか、どういうメカニズムで意思決定がされているのかを理解してもらうことができます。なので、極力外部との連携に関する情報をオープンにしています。また、他部署とのコンフリクトも避けるのではなく、積極的にメンバーと一緒に乗り込んでいって交渉することも、メンバーの成長には欠かせません。

 とはいえ、いきなり調整が難しい仕事を与えても乗り越えられないケースがあります。さらにテレワークで怖いところは、部下が悩んでいることに気付きにくいというリスクが存在すること。そこで、アサインするメンバーの意志と能力、立場でできる範囲の課題を見極めることが重要です。

 例えば、プロダクトのセキュリティーを強化したり、事業のビジョンをチームに浸透させていくプロジェクトなど、重要度は高いけれど、事業には直接関係しないために失敗がある程度許されるタスクを任せるのがおすすめです。

 そして、一度任せたら、遠隔だからこそ相手の感情に関心を寄せましょう。大切なことはリーダーが「あなたに関心があり、気にかけているんですよ」というメッセージを伝えることです。任せる一方で、精神的なサポートも手厚くする。顔が見えない時代だからこそ、今まで以上に求められるスキルではないでしょうか。

(グロービス講師 鳥潟幸志、取材・構成/吉田瞳)