学校の食堂も同じだ。北京の主要大学の食堂を調査した結果、毎日ゴミ箱に捨てられる食べ残しの量は、提供する食料の3分の1を占めている。

 なぜ、これほどの食べ残しが発生するのか。

 そもそも中国の習慣では、お客さんを食事でもてなす際は、食べられる量より多めに注文するのが礼儀である。そして、最後に料理を残すことは、「満足してお腹いっぱい食べたという証拠」と考えられている。特に、魚料理は食べ残す習慣がある。なぜなら、中国語の「魚」と「余」が同じ発音で、つまり「余る」は余裕があり、「縁起がいい」とされるからだ。

 これは、「食事を残してはいけない」「出されたものは、すべて食べないと失礼だ」と考える日本とは、まったく逆の食文化であろう。

 こうした日中の食文化の違いから、これまで中国で食事をご馳走になったことがある日本人は、誰もが次のような体験をしたことがあるだろう。

 中国人にレストランに招待され、テーブルに次から次へ料理が運ばれてくる。日本人はホストに地元のおいしいお酒を勧められながら、お皿をきれいになるまで一生懸命食べる。ホストの中国人は、日本人の食文化を知らず、日本人のお客さんが料理を気に入ってくれていると思い込んで、どんどん追加注文する。それがエンドレスに続く……。

無理しても
食べようとする日本人

 実際、筆者も仕事で度々このような場面に遭遇してきた。

 以前、筆者と一緒に中国を訪問した日本の医療関係者(男性、40代)が次のような体験をしたという。

「上海や北京で食事に招待されると、その圧倒的な量と質に驚かされる。着座をして乾杯の準備をしている間に、どんどんと料理の皿が出てくる。乾杯して食べ始めてからしばらくすると、さらに炒めもの、揚げ物、蒸し物など次から次へと、回転テーブルに運ばれてきた。なんと、さっきのは単なる冷菜で、これからが本格的な料理タイムだという。会食の参加者と対話と乾杯を繰り返しながら、何とか一通り手をつけて『もう満腹だ』と思うと、尾頭付きの大きな魚、大皿のスープ、そして、小籠包、エビむし餃子、麺、果物の盛り合わせ…。テーブルに載せきれない料理は、他の料理の上に重ねて載せる。『食べ物を残してはいけない』と子どものころに教えられてきたので最初のうちはかなり頑張ったが、これはさすがに食べ切れない」