子育てにメリット
待機児童問題とどう向き合うか

 まず子育ての観点から田舎暮らしを分析したいが、小さい子どもがいる家庭の田舎暮らしはかなりおすすめだ。うちの娘は2歳で、地域にはそれくらいの年代の子が少なく、お年寄りの割合が多い。つまり娘は存在しているだけで地域のアイドルになれる。ご近所は言わずもがなで、どこかに出かければ通りすがりのお年寄りが高確率で愛あるまな差し、言葉をかけてくれる。これは親として大変ありがたく、そして快感である。

 近隣の公園は人が少なく、東京ドーム○個分サイズと表現したくなる広さの公園をほぼ独占状態にできることも珍しくない。筆者の田舎暮らしは都会の人混みを避けたい思惑があったので、これはうれしかった。その代わり遊具は朽ち果て気味であり、たまに比較的小ぎれいなものがあるので、そちらを中心に遊ばせることになる。

 当然、公園にも虫がたくさんいる。家の中で遭遇する虫は、憎悪および排除する対象にしかなり得ないが、屋外で見かける虫の数々に娘はとりわけ最近、とりこになっていて、こちらが苦労しなくても公園に連れていけば勝手に盛り上がってくれている。大きなバッタを渡されることも多々あるが、わが子の楽しみのためと思えば我慢できる程度のおそろしさである。

 とはいえ田舎暮らしの子育てには難点もあり、人や世帯によってはおそらく致命的な材料となりうる。まず地域に小さい子が少ないので子育てに向けた環境は申し訳程度の整備がなされている程度だ。制度自体はお国の方針に従ってしっかりしているものの、施設が充実していない。つまり保育園・幼稚園の数が少ない。

 我が家は共働きだが、夫婦ともに主に自宅作業で育児と仕事を並行して行っていたが、なかなかいっぱいいっぱい。もう限界であろうということで娘を保育園に預けようと試みたが、近隣の保育園はすべて定員いっぱいであり、娘は入園の順番待ちとなった。

 いわゆる待機児童というやつだ。ニュースで見聞きしていたあの単語がついに身近に感じられるようになった驚きがある。県別の待機児童数は、平成31年の厚生労働省のデータによると東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城あたりが顕著に多い(首都圏を除くと福岡、沖縄も目立って多い)ので、もっと思い切った田舎への移住を検討している世帯は待機児童の心配をする必要はあまりないかもしれない。いずれにせよ、筆者世帯のように思い付きの無計画で取り組んではうまくいかない可能性が高いので、入園に向けてしかるべき準備を経て臨むのが妥当であろう。

 なお、幸いなことに近所の保育園は一時保育(子どもを単発的に預ける制度。預けられる日数や時間には上限がある)をやっていて、そちらの空きはまだあるようなので、正式な入園が決定するまでの間はそれを利用してしのげそうだった。