新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。そんな変化の激しい現代において「子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる親は多いのではないだろうか。
そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学から心理学までさまざまな資料や取材を元に、「家での勉強のしかた」から「遊び」「習い事」「運動」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー、「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(加藤紀子著)にまとめた。
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を紹介する。
「計画を立てる力」はどんどん伸ばせる
ベネッセ教育総合研究所の「小中学生の学びに関する実態調査(2014)」の結果では、計画を立てて勉強する人は、そうでない人に比べると成績上位者が多いことがわかりました。
一方、小学4年生で約半分、中学生になっても4割の子どもは計画を立てていないこともわかりました。「放っておいても、いつか一人でできるようになるだろう」というわけにもいかないようです。
計画を立てる力は、行動や思考、感情を制御する、脳の「実行機能」と呼ばれるものの一部です。実行機能は生まれもった能力ではなく、幼少期から思春期にかけて訓練すれば、どんどん伸びるといわれています。
アメリカでは、ハーバード大学子ども発達センターが「子どもの実行機能を育むのは、社会の最も大切な責任である」と表明しているほど、実行機能は教育においてとても重要視されています。そして、実行機能を育むには、大人が「足場」をつくってやることが大事だとしています。
計画を立てる力も、最初は大人が少し手を貸すことによって伸ばすことができるのです。では、具体的に親はどんなことがしてあげられるでしょうか?
【その1】「今日1日」の計画からはじめる
子どもに、朝起きてから学校へ行くまで、そして学校から帰ってきたら寝るまでに何をするか、前日の夜か当日の朝ごはんの時間に、思いつくことをメモに書き出してもらいます。
【その2】親も自分の計画を立てる
親も1日のあいだに自分がやるべきことを書き出します。親が計画を実行していく様子を見せることが、子どもの実行機能を伸ばすといわれています。
【その3】内容は具体的に噛みくだく
「しゅくだい」や「あそび」ではなく、「けいさん」「かん字」「どくしょ」「友だちとこうえんへ行く」など、具体的に書くようにすると、子どもでも計画を実行しやすくなります。
【その4】実行できそうな内容にする
とくに子どもは時間の感覚が発達していません。子どもが計画を立てるとき、それぞれの行動にどのくらいの時間がかかりそうか、一緒に考えながら決めていきます。
【その5】ふりかえる時間をとる
計画を達成できたかどうかについて、ふりかえる時間をとって、達成できたところは思いきりほめてあげると、子どもは達成感を得られます。
達成できなかったところは原因を確かめ、次の計画を立てるときに生かせば、子どものやる気を引き出せます。
(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』からの抜粋です)
「小中学生の学びに関する実態調査 報告書[2014]」(ベネッセ教育総合研究所)