「うちは比較的若い常連客が多いのと、おつまみや弁当のテイクアウトを始めたこともあって、売り上げは3割減ぐらいに留めることができています。提供している料理の値段を上げれば生活はもっと楽になるのでしょうが、それはしたくありません。本来、飲食店は料理を出すとき、原価の5倍ほどを提供価格(原価100円なら提供価格は500円)に設定するのがセオリーですが、うちの店ではせいぜい2倍。おいしい料理をちょっとでも安くお客さんに出したいので、緊急事態宣言下でもこの価格のままやっていました。僕は商売に向いていないんでしょうね……」

 業態上は居酒屋を営んでいるが、酒以上に料理へのこだわりが強い。営業時間の自粛要請がある中でも、客が料理を食べている間は閉店時間が20時(ステップ1)、22時(ステップ2)、24時(ステップ3)を過ぎることもざらにあるという。

「食事している最中に『閉店時間なので帰ってください』とはさすがに言えません。協力金は申請していますが、もし誰かに『本当はあのお店、閉店時間を過ぎても営業しているらしいよ』と通報されたら、それももらえなくなるでしょうね。ここは『自粛警察』が出没することで有名な町ですから、それも仕方ないことかもしれません」

 Bさんが最も恐れているのは、このまま居酒屋市場が縮小していくことだという。

「緊急事態宣言や自粛要請が解除されようともコロナが終息しない限り、お客も飲み屋に来るのは不安でしょうし、店を構える店主も自粛警察に目を付けられたり、ご近所に白い目で見られたりするのは不安です。このままの状態が続けば、店に来たがる人も、居酒屋をやりたがる店主もいなくなり、居酒屋の数はどんどん減っていくことになるでしょう」

 この先、新型コロナウイルスが終息するまでの時間が長引くほど、居酒屋はさらなる苦境に立たされるに違いない。そのとき、彼らは経済的にも精神的にも、持ちこたえることができるのだろうか。