「寛容」であるために今からできること
三輪:これから「寛容」の時代がやってくるにあたって、今からできることはあるでしょうか。特に僕の場合、高校生や大学生向けに話す機会が多いのですが、学生の頃からできることがあれば、ぜひ知りたいです。
澤:「寛容」であるためにとても大事なことは、アンテナの精度です。知らないことを知ろうとする情報感度、と言い換えることもできますが、情報を受発信することがとても大切です。
三輪:受発信ですか。アンテナという言葉を聞くと、受信のイメージが強いですが、発信も大事ということでしょうか。
澤:そうです。発信するからこそ、自分向けの情報が返ってくる。SNSに投稿すると、フォロワーからのコメントが返ってくるのが分かりやすい例でしょう。これは学校でも同じことが言えて、「手を上げて質問する」だけでアンテナの精度はどんどん高まります。
三輪:確かに、講演会でも質疑応答で手を挙げることは、いいプレゼンの練習になります。緊張に慣れるためにも役立ちますし。
澤:それだけではありません。手を挙げて質問することは、同じような疑問や質問を持つ人に対してのプレゼントにもなるんです。質問そのものが立派なプレゼンなんです。だからこそ、学生のみなさんにはぜひ手を挙げて質問することに挑戦してもらいたいですね。
三輪:失敗のいい練習にもなります。いい質問をして自分の名前を覚えてもらえたことはありますが、ダメな質問をして自分の名前が覚えられたことは今まで一度もありません(笑)。
澤:そうですね。うまく質問できなくても、それは後になっていいネタになるし、話すことが苦手な人にとっては共感してもらえる物語になる。これも『100%共感プレゼン』で書かれていたことです。
三輪:おっしゃるとおりですね。「寛容」の時代が到来し、「手書き」のスライドをはじめとした、新しいプレゼンの常識が生まれつつある。そんな時代に求められるのは、自分らしさである。澤さんの新刊『個人力』にも書かれている通り、「共感」こそが相手の心を動かして、行動を変えていく、というわけですね。非常に学びのあるお話でした。ありがとうございます。