「四半世紀ぶりの“全世界同時リセット”の時代です」と語るのは「プレゼンの神」と呼ばれる澤円さん。日本マイクロソフトの業務執行役員時代には年間300回以上プレゼンテーションをこなし、ビル・ゲイツが卓越した社員だけに授与する「Chairman's Award」を受賞した経歴も持つ。2020年8月末には長年勤めた日本マイクロソフトを退職して独立。新しい挑戦に乗り出した。著書の『マイクロソフト伝説マネジャーの 世界No1プレゼン術』や最新作『個人力』なども話題だ。澤さんはコロナ禍で感じる世界の変化、それに合わせたプレゼン(伝え方)の変化をどう捉えているのか。インタビュー前編で澤氏は、自分が心の底からワクワクすることを話すという、自分を中心とした話し方が大切であると教えてくれた(詳細は『「自己中」なあなたの物語が聞き手の心を揺さぶる』)。後編ではスライド作りの極意について聞いた。聞き手は7月に初の著書『100%共感プレゼン』を出した三輪開人氏。

澤円流「共感プレゼン」の極意は「手書き」スライドにあり「プレゼンの神」とも言われる澤円氏(左)と「共感プレゼン」著者の三輪開人氏(右)

三輪開人さん(以下、三輪):インタビューの前編(『「自己中」なあなたの物語が聞き手の心を揺さぶる』)で澤さんは、新型コロナウイルスの世界的感染拡大が続く状況を「25年ぶりの全世界リセット」とたとえていました。この先、プレゼンテーションの形式も変わっていくと思いますか。

澤円さん(以下、澤):大きく変わると思いますね。例えば、この対談もオンラインで実施していますが、これからはオンラインでプレゼンテーションする機会がもっと増えていくでしょう。三輪さんも既に経験があると思いますが、オンラインで話す時には、どんな服を着ていますか。

三輪:僕の場合、プレゼンする時はいつもバングラデシュの赤い服を来ているのですが(笑)、少なくともスーツを着て話すことはありません。

:そうですよね。家でスーツを着るのはやっぱりおかしいですよね。プレゼンだけではありません。オンラインの会議だって、後ろに家のリビングが見えるような環境でスーツを着ていたら、違和感しかありません。

三輪:スーツよりも背景と合うカジュアルな服装の方が違和感を覚えないですよね。

:オンラインでの会議やプレゼンが増えれば、きっとスーツを来て話をすることは減ってくるはずです。何者かを演じる必要がなくなると、僕は思っています。

三輪:今まで以上に素の状態でプレゼンすることが当たり前になるということでしょうか。

:まさしく。だからこそ、よりプレゼンをする人の本音が大切になるんです。本音をしっかりと伝えることができる人物が、より人を動かす時代になるはずです。