【お寺の掲示板71】「だいじょうぶだぁ」は仏様からのメッセージ本山佛光寺(京都)投稿者:よっき@yokki256 [2020年7月1日]

不安な私が安心となった言葉

 「田の字」と呼ばれる京都の中心部、四条通と五条通の間の下京区新開町にあるのが真宗佛光寺派の本山佛光寺です。昔から塀に設けた大きな掲示板による掲示伝道に力を入れているお寺さんで、2年前にも「つくられた幸せで」という掲示板をご紹介しています。

 この掲示板の中で、今年3月に亡くなった志村けんさんの有名なギャグが登場します。1980年代後半、『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』でやっていたコントの中で、志村さんが3連のうちわ太鼓をたたきながら「だいじょうぶだぁ」と叫ぶギャグは、子どもたちに大ウケしました。いまでも鮮明に覚えている方は大勢いらっしゃるのではないでしょうか。

 それから約30年余り月日がたちました。新型コロナウイルス禍の終息のめどがいまだにたたず、社会全体が不安を抱えた現在、志村さんからの安心を与えてくれるメッセージとして私たちはこの言葉を受け取ることができます。

 志村さんが亡くなられた直後、実は多くの浄土真宗のお寺の掲示板にこの「だいじょうぶだぁ」という言葉が張り出されていました。浄土真宗では「南無阿弥陀仏」という念仏が重要とされており、「あなたを救うからだいじょうぶ。安心しなさい」という「仏様からの呼び声」とされています。ですから、「仏様からの呼び声」と「だいじょうぶだぁ」という言葉には、意味的に重なる部分があるのです。

 「だいじょうぶ(大丈夫)」という言葉は一般に「安心できるさま」を意味していますが、実は『涅槃(ねはん)経』という経典の中では「仏」の異名として登場しています。つまり、「だいじょうぶ(大丈夫)」とは本来、「仏」を意味する言葉でもあったのです。

 志村さんは恐らく、そうしたことは全く知らなかったと思いますが、このような点を踏まえると、「だいじょうぶだぁ」という言葉には少し仏教的な要素が含まれていると捉えることもできます。
 
 シルバーウイークはお彼岸と重なり、22日の秋分の日はお彼岸の中日にあたります。お寺やお墓参りをされる方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか?

 今は亡きご先祖さまや仏様からの呼び声(メッセージ)に耳を傾けながら、お参りをさせていただく日にしたいものです。

【お寺の掲示板71】「だいじょうぶだぁ」は仏様からのメッセージ

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