コーランに書かれていること

 では、クルアーン(コーラン)とは何なのか。それは、ムハンマドが神アッラーから受けた啓示(メッセージ)をまとめたもの。どこからどこまでも、神の言葉である。ムハンマドは、それを右から左に伝えただけである。

 クルアーンは、ほんとうに神の言葉なのか。神の言葉である。クルアーンの本文は、神自らが一人称で、これは神の言葉であるとのべている。ムハンマドも、クルアーンが神の言葉であることを保証している。クルアーンには、神しか知りえない神秘がのべられている。その完璧な文体も、人間のわざが及ぶものではない。つまり、神の言葉であることは明らかだ。

 イスラム教は、タウヒード(唯一性)を重視する。つまり、

 ・ アッラーはただひとりの神
 ・ ムハンマドはただひとりの預言者
 ・ クルアーンはただ一冊の神の書物
 ・ ウンマ(イスラム共同体)はただひとつ

 アッラー→ムハンマド→クルアーン→ウンマ、がストレートにつながっている。とても明快だ。

 神アッラーが創造主であることは、クルアーンに書いてある。クルアーンは、人類に向けた神の命令だ。ゆえに、イスラム教徒にとっては、クルアーンが、日常生活を送るうえでのルール(法律)である。クルアーンをルールブックとして生活するのが、イスラム教である。

 イスラム共同体の指導者を、カリフ(あるいはイマーム)という。カリフ(イマーム)は、ムハンマドの政治的な後継者である。カリフ(イマーム)も、一人でなければならない。イスラム教が始まって何世紀か経過するうちに、カリフもイマームもいなくなって、いまは空位である。血縁で世襲していたのが途絶えたり、どこかに隠れていなくなったりしてしまった。

(本原稿は『死の講義』からの抜粋です)