そのような世帯は、多数というわけではない。たとえば2019年度は、最少だった6月に5万4795世帯(生活扶助人員は6万2496人)、最多だった2020年3月に5万5250世帯(同6万5955人)であった。2020年3月はコロナ禍の影響が現れ始めていた時期でもあるが、例年、傾向は同様である。最少と最多の差は、その冬を「冬だけ生活保護」で生き延びた世帯数および人数の最多の見積もりと考えるべきだろう。生活保護を必要とする背景は、寒冷以外にも多数あるからだ。

 災害救助や紛争地の支援において、「455世帯の安全を確保した」「3459人の命を危機から救った」という実績は、世界で報道されるニュースとなり得る。日本においては、寒冷地の冬の寒さという脅威に対して、札幌市だけでも世界に誇り得る規模の人道支援が毎年行われ、健康状態を悪化させたり生命を失ったりするリスクから、各個人や各世帯を救済している。

 筆者は心から思う。日本はもっと、このことを誇るべきなのではないか。もっと世界に誇れるように、生活保護を運用すべきなのではないか。

北海道に蓄積されてきた
「共助」の数々とは

 北海道の気候には、本州以南の日本にはない特徴がある。気候区分では、本州以南の日本は温帯または亜熱帯に属するのに対し、北海道は亜寒帯である。本州以南と同じ備えでは、生き延びることができない。

 もちろん、個人や家族レベルでの備えは行われているのだが、ニーズが多ければ価格は高くなる。たとえば灯油価格は北海道ではやや高く、「北海道価格」と呼ばれている。それでも、購入しなければ生き延びられない人々は購入するのだが、灯油価格が急騰する場合もある。どうしても、公的制度による支援は欠かせない。