日本のコロナ死亡者は
圧倒的に少数である

 10月14日までの日本の死者数は1647人である。20万人を超えた米国のほか、フランス、スペイン、イタリアの3万人台、英国の4万人台に比べ桁が違う。あまりにも少ない。

 国内の他の死因との違いはどうか(図1)。

日本のコロナ自粛がどう見てもバランスを崩している理由図1、厚労省の人口動態統計より筆者作成 拡大画像表示

 この30年ほど減少を続けている交通事故死だが、2018年は3532人、2019年は3715人だった。家庭内浴槽での溺死は2019年に5166人に上ると厚労省の人口動態統計は伝えている。2015年の厚労省研究班の発表では、入浴中の死者は1万9000人にも達するという。急激な温度変化、即ちヒートショックによる心筋梗塞や脳卒中などの病気も含めた死亡者数である。その大多数は自宅で、それも高齢者が大半だという。

 いずれも、コロナ死よりはるかに多い。だが、交通事故死から身を守るために「車道に近づかない」「車に乗らないように」とは言われない。冬季の入浴は危険だから「お風呂は止めましょう」という行政からの自粛要請はない。

 身体に関わる死因ではどうか。インフルエンザによる死者は19年が3517人、18年は3325人。インフルエンザが元になった病気で死亡し、死亡診断書で別の死因が記入されるのは1万人前後と言われる。

 また、高齢者に多い誤嚥(ごえん)性肺炎の死者は、人口動態統計では2019年になんと4万385人に上っている。では、誤嚥をなくすため「食事は口から食べないように」「胃瘻に切り替えましょう」という要請が的確だとは思えない。そんな指導をする医療機関がないとは言えないが……。

 実は、医師が記す死亡診断書では、誤嚥性肺炎で亡くなっても、肺炎と書かれることが多い。死亡診断書には第三者のチェックがなく、死亡時に立ち会った医師の「独断」で決まる。訪問診療のベテラン医師の推計では、肺炎死の7割ほどは誤嚥性肺炎だという。すると、2019年の肺炎死は9万5498人だから、7割分を加えると約10万7千人が誤嚥性肺炎死となり、月間約9000人にも達する。

 こうして他の死因と比べてみると、コロナによる死者は決して突出して多くはない。コロナウイルスが死を招く唯一のリスクではない。それなのに、他の死因へのリスク対応にはない異常な取り組みが成されている。どう見てもバランスを失している。社会のインフラを止め、文化を沈黙させ、日常生活を壊すほどのことなのか疑問を感じてしまう。