虐待へのリスクを減らす
「特定妊婦」へのフォローシステム

 前章の「特定妊婦」について少し補足しよう。

 特定妊婦の条件は、主に7つある。

◎「特定妊婦」の条件
1.若年(若過ぎる妊婦)
自治体によって16歳未満、20歳未満など年齢の基準は異なる。年齢だけでなく、本人の精神状態や周囲のサポートなどを総合して判断される。
2.経済的問題あり
経済的理由で、出産後の子育てが難しい場合、「特定妊婦」として認められると、補助金などのサポートが受けられる機関を紹介してもらうことが可能。
3.妊娠葛藤(望まない妊娠をしてしまった)
妊婦が妊娠を望んでいない、出産に抵抗があるなど、妊娠に葛藤がある場合にも「特定妊婦」と認められることがある。
4.母子健康手帳未発行・妊娠後期の妊娠届
妊娠しているのに母子手帳を発行していない、妊娠後期ではじめて妊娠届を出したりなど届け出が遅い、病院で定期的に行われる妊婦健診を3カ月以上受けていないという場合には、出産の準備が十分でないと考えられ「特定妊婦」となることがある。
5.多胎妊娠
出産のリスク、育児費用が高額になる等の懸念から、ほかの条件とあわせて出産や育児が困難だと判断された場合には「特定妊婦」と認められることがある。
6.妊婦の心身の不調
総合失調症などの精神的な疾患や社会心理的な疾患、心臓疾患や糖尿病などを抱える「ハイリスク妊婦」は、出産への不安から精神的に不安定になることがあり「特定妊婦」として認められることがある。
7.その他
ほか、次のような出産や育児が困難な場合に認定されることがある。
・パートナーによるDV
・虐待歴がある
・未婚での妊娠
など

 あくまでも児童福祉法にもとづく制度なので、実質的には妊婦ならびに産褥期の母親に対する支援ではあるのだが、最初の章で紹介した「自身が危険な状態にあることを認識できていない」層のサポートにはあまり結びつかないような気がする。