ドラフトでの評価はその後の活躍にあまり関係ないという現実は誰もが認識している。ドラフト外で入団し、巨人でエース級の活躍をした西本聖投手の例は有名だ。ミスタータイガースとも呼ばれた掛布雅之はドラフト6位指名、イチローが4位指名だ。最近でいえば、育成枠で入ったソフトバンクの千賀滉大投手、甲斐拓也捕手は球界を代表すると言ってもいいバッテリーに成長した。今季終盤に13試合連続盗塁の世界新記録を樹立した周東佑京選手も最初は育成選手だった。

 つまり、最も確実な強化の方法は、「見込んだ選手を絞り込んで採るよりも、伸びそうな選手をたくさん採って育てた方が確率は高い」という一面も明らかになっているのだ。

ドラフトの役割は、もう終わった?

 1965年に「アマチュア選手獲得の健全化」「戦力均衡」「巨人への一極集中を回避」などの目的で導入されたドラフト会議だが、55年の歴史を経て、すでにその成果は達成されたのではないだろうか?

 ドラフトがあったからこそ、くじ引きで甲子園のスターたちが続々とパ・リーグのチームに指名され、入団した。ダルビッシュ有、田中将大、斉藤佑樹ら、圧倒的にセ・リーグよりパ・リーグに花形選手が入団したのは、ドラフトの成果だろう。すでに人気の面でもセ・リーグをしのぐ勢いを持ち、本拠地を基盤に着実にファンを獲得しつつあるパ・リーグ球団が、いまも新人獲得競争で巨人の後塵を拝することはないのではないか。

 いまドラフトを廃止したら、また巨人に有望選手が集中するかも…という不安を各球団が拭いきれないのかもしれない。しかし、巨人の亡霊に怯えるために、自分たちが自分の首を絞め、失っているものの大きさにも気づく必要がある。

 日本ハムは今年、地元・北海道の伊藤大海投手(苫小牧駒沢大)を1位指名した。北海道の球団として人気を盤石にしつつある日本ハムとしては、願ってもない補強といえるだろう。だが、競合しなかったから単独指名で採れたのであり、他球団も伊藤獲得に熱心であればスムーズには運ばなかった。地元色を強めたい球団方針が、ドラフトによって邪魔をされる可能性もあったのだ。地元密着の方向性が支持されてプロ野球が新たな支持を得る流れの中で、ドラフト制度はそうした矛盾もはらんでいる。