コロナ禍で、統合以降初となる中間決算の最終赤字を計上した三越伊勢丹ホールディングス。構造改革の柱としてインターネット通販などオンラインへのシフトを進めるが、同時に顧客離反のリスクが足元で高まり始めている。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)
営業自粛にインバウンド激減
中間決算で初の最終赤字
「今の中期(経営)計画は来年度を最終年度としていたが、コロナで環境が大きく変わっており、いったん見直したい」
11月11日の決算会見で、中計の取り下げを表明した三越伊勢丹ホールディングス(HD)の杉江俊彦社長の表情は、終始硬かった。
それもそのはずだ。同社の2020年4~9月期の連結業績は、367億円の最終赤字。08年に三越と伊勢丹が統合して同社が発足して以降、中間期としては初めて最終赤字に転落したのである。
赤字の要因は言うまでもなく、コロナ禍による百貨店の営業自粛に加えて、急拡大していた海外からのインバウンド需要が激減したからだ。
6月以降、「リベンジ消費」による反転攻勢を期待したものの、客足の戻りは想定よりも鈍く、同社の財務をじわじわとむしばみ始めている。