脅威だったTPP包囲網を突破できた中国

 オバマ政権が推し進めていたTPP(環太平洋パートナーシップ協定)は、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム、米国の12カ国間を束ねた経済連携協定だが、このグループの最大の特徴は、環太平洋地域国なら、中国以外のどの国でも参加できるとしていることだ。

 このTPPが実現すれば、経済規模は世界の40%を占め、アメリカ合衆国とヨーロッパ連合を結ばせた北大西洋版TPPともいえるTTIP(大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定)を加えると、2つのグループが世界経済の60%以上を占めるほどの勢力圏を誇ることになる。

 つまりTPPが実現すれば、中国を残りの40%という世界経済圏の中に孤立させることに成功することを意味していた。

 このTPPは明らかに中国を包囲するための経済協定だと、中国は警戒していた。しかし、蚊帳の外に置かれた中国には、その包囲網を打ち破る方法はない。予想外なことにトランプ政権時代の2017年1月、アメリカ合衆国は自らの意思でTPPを離脱した。オバマ政権時代、アメリカがあれだけ苦労して敷いた中国包囲網は、こうしてトランプ政権に軽々と破って捨てられたのだ。

 しかし、バイデン政権が誕生したら、米国が再びTPPを担ぎ出す恐れがある。そのバイデン政権が誕生する直前に、米国を蚊帳の外に置くことに成功したRCEP協定の成立は、中国にとっては中国包囲網を突破した一大勝利だけではなく、米国に対抗するには欠かせないツールの一つでもあると見ていい。