効果の持続性については、それこそ「市販後」(販売・実用化の後)にしか明らかにならない。

 通常の不活化ワクチンでは、初期に2回、半年から1年後にブースター効果を狙って3回目の接種をするのが通常である。今回の新型コロナに対するワクチンも、接種後、定期的に抗体価や、ワクチン接種したのに感染する人が増加しないかモニタリングし、場合によっては「ブースター接種」(追加免疫のための接種)を実施することになろう。

国内の製薬会社、製薬ベンチャーが
圧倒的に不利な理由

 日本ではバイオベンチャーのアンジェスが、DNAワクチンを開発中だ。DNAワクチンはmRNAワクチンの仲間(核酸ワクチン)だが、mRNAワクチンでは抗原タンパク質の設計図の“鋳型”を接種するのに対し、DNAワクチンではその「原型」を接種する。そのため、まず細胞の核内でmRNAに転写される必要があるが、抗体だけでなくT細胞などによる攻撃誘導が期待できるのは同じだ。

 現在、第I・II相試験(初期と中期の臨床試験)を終了し、今後カナダで第III相臨床試験(後期の臨床試験)の予定だという。

 他には、田辺三菱製薬が、子会社メディカゴ社(カナダ)に、新型コロナウイルスワクチンを開発させている。こちらはVLPワクチンといって、ウイルスと似た構造の植物由来の粒子(ウイルス様粒子、VLP)を接種することで、体内に抗体を作らせるものだ。

 北米で第II相試験に入っており、12月中には第III相試験に入る予定と発表されている。

 だが、彼らは先行するモデルナ社やファイザー社に比べれば、圧倒的に出遅れている。

 ワクチン開発は、時間との戦いだ。先行するワクチンの接種率が高まり、感染症が収束に向かえば、臨床試験の遂行は難しくなる。

 これがほかの薬、例えば高血圧や糖尿病の薬なら、ある薬の臨床試験に協力しても、その後に一定期間を置けば、別の薬の試験にも協力できる。一人のボランティアが複数の薬の開発に協力できるのだ。ワクチンでは、そうはいかない。

 一度でも臨床試験に協力して実薬(偽薬でない)の接種を受けた人は、同じ感染症のワクチンの試験には参加できない。ワクチンで得た免疫は、その後も長く持続するからだ。

 しかも参入が遅れるほど、臨床試験のコストも割高になる。ワクチン接種が欧米で順調に進んで感染者が減り始めたら、ワクチンの行き届いていない国で実施するしかないからだ。臨床試験のインフラが整っていない貧しい国で、一から試験体制を整えなければならない。コストは価格に反映されるか、企業がのみ込むしかなく、やはり不利だ。

 加えて、国内メーカーには別の不安要素もある。