極限に近い一極集中の制度疲労
大野に言わせると、トヨタ生産方式の応用範囲は無限。「ムダの排除」は、企業のみならず個人でも国家でも使えば効果てき面。「国家予算、家計のムダを省けば税収が増え、家計は楽になる。努力を惜しむな」と強調した。
景気回復が鈍く企業は悪戦苦闘を続けているが、心配なのは民より官。肥大化し硬直化した官僚制度は限りなく税金のムダを生む。
あらゆる行財政システムが制度疲労に陥っている。1871年に明治政府が「廃藩置県」で強力な中央政府をつくり、一気に近代化を進めてから140年。東京一極集中の巨大な中央政府の「制度疲労」は極限に達し、身動きもままならない。東北大震災被災地(地方自治体)からの悲痛な要望に即座に応えることができない。
日本のダイナミズムを呼び戻すために、一刻も早い地方分権の確立が急務である。地方主権の「道州制」移行などアイデアは出尽くしている。実行あるのみ。
失われた20年を取り戻そう
「トヨタ生産方式によるムダ排除」も「事業仕分けによるムダ排除」も、景気回復あってこそ効果を発揮する。
残念ながら回を重ねて実施された「事業仕分け」の事業削減効果は目標をはるかに下回り、マスコミの非難を浴びた。因みに2009年11月の第1回「事業仕分けの削減効果は、「廃止・見送り・削減された予算7400億円」「公益法人・独立行政法人基金(埋蔵金)8400億円」。合計1兆6000億円弱。国家予算の概算要求額95兆円に対して1.7パーセントに過ぎなかった。
だが、このデフレ不況が続くなかにあっては、ムダの削減金額の多い少ないは問題でない。肝心なのは、ねばり強く「事業仕分け」を続け「予算の構造」、すなわち「国家の構造」を少しでも多く変革することのほうがはるかに重要である。
なぜなら、ひとたび景気が回復すれば、「国家予算の構造改革」の効果が税の増収となって確実に現れる。「事業仕分け」でムダな事業の廃止が多ければ多いほど、貴重な税金を再びそこへ投入する必要がなくなるからである。「子ども手当」にも余裕が出てくる。財政再建だって夢でなくなる。