『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏「著者の知識が圧倒的」独立研究者の山口周氏「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

Photo: Adobe Stock

[質問]
 ご褒美などで釣るのはあまり良くないことですか?

 質問です。

 どうしても勉強のやる気を見せない、中学2年の不登校の娘がいます。だるくてやる気がしないとのことです。こういった場合、ご褒美などで釣るのはあまり良くないことですか。考えているのは、いついつまでに、中学校一年生の分の勉強を終えたら、その時に娘の欲しいものをいくつか、現実的な範囲で買ってあげるよ、といったものです。

 動機がないと永遠に勉強をしなさそうで、娘本人も、やるべきとわかってはいるけど、倦怠感がひどく、やる気がそれを上回らない感じと言っていて、ご褒美を用意したらやる気を上乗せできないかと考えました。

 しかし、もし将来何かしらの悪影響があるのなら、娘のためにも、この方法はやめたいと思うのですが、いまいち判断がつきません。

ご褒美は「出し方」が重要です

[読書猿の回答]
 ご褒美自体は悪くありませんが、ご質問のやり方は、目標が大き過ぎ、大雑把すぎて、効果が出づらい気がします。

 一般に行動が生じない場合、(1)何をしたらいいか分からない、(2)どのようにすればいいか分からない、(3)やったとしてもろくなことがない、のいずれか(時には複数)が当てはまります。

 ご褒美はこのうち(3)に働きかけるものなので、(1)と(2)の問題がクリアーされていることが前提です。

 大きすぎる課題だと(1)(2)の段階でつまづいてしまうか、そもそも既につまづいていることが多いのです。

 なので、正しいご褒美の出し方は、「これならすぐに/簡単にできる」と思えるくらい、できるだけ課題を細分化した上で、細分化された小さなひとつひとつについて、実行できたらすぐに(これがとても大切です)、ごく小さなご褒美を出すことです。このときご褒美が大きすぎると、飽和化といって「お腹いっぱい、もういらない」状態にすぐに陥ります。

 どうしても「娘さんの欲しいもの」のような、大きなご褒美にしたい場合は、クーポン・エコノミーという方法があります。小さなご褒美として1点ずつポイントをあげて、それを何点以上貯めると大きなご褒美がもらえるようにするわけです。ポイントはシールを貼るなど、どれだけ貯まったかいつでも見た目で確認できるようにすると効果が高いです。

 最初はごくごくささやかな行動、直接勉強そのものでなくても、それにつながる間接的な行動(たとえば「5分間だまって机に座る」など)にもポイントを出すとよいです。もちろん「問題集を1ページやる」方が高いポイントを付けたほうがいいですが。

 何にどれだけポイントをつけるか、そして何ポイント貯まると何がもらえるかについては、娘さんと話し合って決めると、この方法に乗ってもらいやすいかもしれません(自分が立案に関与した計画は実行されやすいので)。