会社も役所も、お金について通り一遍のことは教えてくれても、“あなた自身”がどう決断すれば一番トクになるのかまでは、教えてくれません。税や社会保険制度の仕組みは、知らない人が損をするようにできています。長くサラリーマン生活を続けていると、税金も社会保険料も会社任せで、自分が何をどれだけ払っているのか意識していない方がほとんどです。また、税や社会保険の基本的な制度や仕組みに関する知識が危うい人も!
定年前後に気を付けるべき「落とし穴」や、知っているとトクする「裏ワザ」を紹介し、発売即3刷となった話題の書「知らないと大損する!定年前後のお金の正解」、の著者である板倉京先生(下記M)に、お金オンチの担当Iが、いまさら恥ずかしくて聞けない「基本のキ」を聞いた部分を本書から抜粋して紹介します。

源泉徴収票をちゃんと見ていますか?

「給与収入」と「給与所得」の違いが説明できる?

I 今まで、あまりちゃんと源泉徴収票を見たことがなかったんですが、見るべきポイントを教えてください。

M (1)の「支払金額」が、会社から支払われている「年収」です。給与の他、残業代などの各種手当やボーナスなどが含まれます。

I それはわかります! いきなりわからないのは、(2)「給与所得控除後の金額」。「給与所得控除」ってそもそも、何ですかコレ?

M 「給与所得控除」というのは、簡単に言うと会社員のための“みなし必要経費”です。会社員として働くのにも、洋服や靴とか経費がかかりますよね。それを、みなし経費として一定額認めてあげるので、それを収入から引いていいですよ、ということ。

I フリーランスの人が、売上から経費を引くのと同じイメージ?

M その通りです。会社員には「給与所得控除」という領収書のいらない経費が認められているということ。この額は年収によって決められています。

I (2)の「給与所得控除後の金額」というのは、すなわち、収入からみなし経費を引いた後の金額ということですね。

M ハイ! (2)の金額は、通常「給与所得」といいます。つまり、収入-給与所得控除(みなし経費)=給与所得。つまり給与所得というのは会社員にとっての「儲け」という意味です。

I 「給与収入」と「給与所得」の違い、今までわかってなかった!

「所得」=「儲け」だと覚える

M 「所得」という言葉が出てきたら、基本は、収入から経費を引いた「儲け」の意味と覚えてください。実は年金生活者にも、同じような「公的年金等控除」という“みなし経費”があり、「年金所得」は、「年金収入」から「公的年金等控除」を引いたものです。

I なるほど!「所得」=「儲け」である!

M しかし所得(儲け)全体に課税されるわけではなく、さらに扶養家族の人数や、生命保険料などもろもろの状況に応じた控除をしてくれます。それが、(3)の「所得控除の額の合計額」で、所得から「所得控除」を引いたものが、課税対象になる「課税所得」です。

I 年末調整で会社に生命保険料などの控除申告書を提出するのは、(3)を決定するためなんですね。

M はい。「課税所得」に税率をかけて税額が決まります。税率は、課税所得額に応じて、5~45%まであります。整理すると下記の図表のようなイメージです。

I 税額が決定した後に、そこからさらに控除される場合もある?

M 「税額」が決定した後にさらに引いてくれる「税額控除」というのもあって、これは、払うべき税金からそのまんま引いてくれるので、おトク度が高い!「住宅ローン控除」は実はこちらです。

I これで最終的な所得税の納税額が決定する。

M その納税額が、源泉徴収票の(4)に書かれている金額です。

節税のポイントは「控除」を増やす

I なるほど! つまり、所得控除や税額控除が多いほど、税金が少なくなる!

M 「控除」めちゃくちゃ大事! 退職して、起業したり年金生活になっても同じです。会社を辞めると年末調整をしてくれなくなるので、そういった「控除」を忘れずに自分で確定申告して、課税所得を圧縮するのが、手取りを増やす第一のコツです。

I ところで、源泉徴収票に載っている源泉徴収税額というのは、所得税だけですよね?

 てことは、(1)「支払金額」−(4)「源泉徴収税額」がサラリーマンの手取りになるわけではない?

M はい。「手取り収入」は、(1)「支払金額」−(4)「源泉徴収税額(所得税)」からさらに、「住民税」と(5)「社会保険料等の金額」を引いたものです。

I まだまだいっぱい引かれるんですね。

M 本書で、詳しく説明しますが、(5)の社会保険料というのは、主に「健康保険料」「介護保険料」(40歳以上のみ)「厚生年金保険料」「雇用保険料」。これもかなりの額です。

住民税は翌年支払うことになる

I そして住民税はどこに書いてある?

M 源泉徴収票を見ても住民税は載っていません。今年(1~12月)の所得が確定したらそれに応じた額を翌年の6月から払います。つまり住民税は1年ずれて払うわけです。

I だから退職翌年に、退職した年の高い所得に応じた住民税の請求が来るというわけですね。どのくらいですか?

M 住民税は、前年の課税所得のだいたい10%くらいと思っておけば、大丈夫です。