12年間一貫教育で目指すもの

“国際”を最初に付けた都立校は、目黒区駒場にある国際高校である。1989年、新宿区にあった赤城台高校の後継として国際学科を設置して開校、国際バカロレア(IB)の大学入学資格が得られるディプロマプログラム(DP)認定校であり、都の進学指導特別推進校にも指定されている。

 この国際高校の人気が高いこともあって、さらに都心部で帰国生や外国人生徒を受け入れることも視野に入れた「新国際高校(仮称)」が検討されている。最寄り駅から徒歩2分の旧東京都職員白金住宅地(港区)に、単位制の国際教養学科を設け、1学年6学級(240人)という国際高校と同規模の学校が設立される計画だ。

 ところで、新設される都立小学校の正式名称はまだ決まっていない。ただ、この12年間に及ぶ小中高一貫教育校の校長は1人になる方針がすでに示されている。形式上は立川国際中等教育学校の附属の小学校となるのだろうが、ここでは小学校段階と呼ぼう。

 2020年4月、立川国際中等教育学校の校舎内に、4人の教員により東京都立小中高一貫教育校開設準備室が発足した。市村裕子校長は高校の外国語科教員であり、国際高校の副校長と都立高の校長を経て就任した。IBの事情にも詳しいが、本校がIB認定校になる予定は現状ではない。副校長は東京都教育庁から、2人の教員は都内の公立小学校からの異動である。

 説明会で明らかにされた教育内容はかなり意欲的なものだった。「高い言語能力を活用して、世界のさまざまな人々と協働するとともに、論理的な思考力を用いて、諸問題を解決し、さまざまな分野で活躍する人材」を生徒の卒業後の姿として描いている。これは新しい学習指導要領で想定する今後の学びの姿と重なり合う部分も多く、本校の3つの特色の一つである「探究的な学び」のためのプログラム「IBL(Inquiry-Based Learning)探究12」でも具体的に示されている。

 2つ目の特色である「語学力とそれを支える言語能力」では、小1から英語が教科として週4コマ設定されている。一般的な公立小学校では、小3・小4で外国語活動、小5・小6で教科として外国語(英語)を学ぶが、本校の小学校課程ではその約4倍の時間数が英語学習に充てられている。そのための独自のテキストを都教育庁が作成する予定で、学校説明会の冒頭あいさつで都立学校教育部の教育改革推進担当課長が述べたように、「新たな教育モデルの構築のための研究校的取り組み」が本校には期待されている。

 なお、早くから第二外国語に触れる機会を設けながら、中学校段階からは週2コマ(予定)の第二外国語(対象言語は未定)が選択必修となる。それも含めて一般的な中学校の約2倍の授業時間が外国語の授業に設定される。