押さえておきたい「4つの構成手法」
4つの構成手法とは、経過、逆算、マクロ、ミクロの4つだ。経過手法とは、文字通り、経過をたどって説明する方法だ。よかれと思って、結論を先に話したら、「順序立てて話してくれ」と言われた経験のある人もいるだろう。ある程度の時間が与えられていて、細部にまで言及でき、因果関係について理解を促したいときに特に有効だ。
逆算手法とは、結論から逆戻りしながら説明する方法だ。上記の例とは逆に、経過手法で説明したら、「結論を言ってくれ」とせかされた経験のある人もいるだろう。逆算手法は、説明する時間が限られていて、話の全体像を示し、結論や到達地点を強調したいときに特に有効だ。
マクロ手法は、マクロからミクロに、大項目から小項目にブレイクダウンしていきながら説明する方法だ。世界の情勢、日本の情勢、自社業界への影響、自社への影響というように順を追って説明範囲を狭くしていく。大局観を訴求したいときに特に有効だ。
ミクロ手法は、逆に、ミクロからマクロに話の範囲を広げていきながら説明していく方法だ。自分の業務内容に始まり、自分の業務が次工程に与える影響、自社に与える影響…というように説明範囲が広くなる。局所に着目したいときに特に有効だ。
相手に合わせて構成を変える
これらの4つの構成手法は、テーマや状況によって使い分けることが重要だ。そして、忘れてはならないことは、相手にはそれぞれが好む構成手法があるということだ。
これまで会話する中で、この人はいつも「経過をたどって説明してくれ」「順序立てて説明してくれ」と言っている人には、経過手法で説明することが基本だ。「だから結論は何なのだ」「それで、どうなるというのだ」が口癖の人には、逆算手法で話してみるとよい。「全体像を示してくれ」と言っている人にはマクロ手法を、「具体的な手順」にこだわっている人にはミクロ手法がおすすめだ。
演習参加者のデータを踏まえると、職位が上がれば上がるほど経過手法よりも逆算手法を、ミクロ手法よりもマクロ手法を好む人が多い。営業担当者は経過手法、経営企画担当者はマクロ手法、金融保険業界の人はミクロ手法を好む…というように、業界や業種によっても好みが分かれる。
しかし、あくまで演習参加者のデータなので、これまでの経験から相手の好みを踏まえた説明をすることをおすすめする。初めてコミュニケーションを取る人に対しては、説明の時間が十分にあれば経過手法で試して、相手が違和感を覚えるようだったら逆算手法に切り替えることだ。