家計管理の基本
「良い節約の3カ条」とは?

 コロナは、職や収入が案外大きく変動するものであることを可視化した。自分が勤めている企業で起こらなくとも、業績が大きく傾いた会社や店じまいする商店・飲食店、仕事が激減したフリーランサーなどを身近に見て、「明日はわが身」と思った読者は少なくないだろう。

 緊急事態宣言時に支給された「一人10万円」の給付金の多くが消費ではなく貯蓄に回ったことに対して、「経済対策として効果が乏しい」とする「景気マニア」的な近視眼的批判が一部にあった。ただ、経済的な不確実性が高まったときに手元にお金を置くのは、個々の経済主体としては合理的な行動だ。貯蓄で安心を確保して、将来の時点でお金を使うのは悪いことではない。

 資産の運用を専門とする立場からすると残念なのだが、経済的な不確実性に対処するに当たって、最も強力な武器は「コンパクトな生活をする技術」であるように思う。資産運用を成功させて資産側を膨らませることを期待しても結果は不確実だ。一方、支出を見直して負債側の現在価値を圧縮することは、わりあい確実に行うことができて、家計に余裕を生む。

 基本的な考え方としては、(1)確実にできて、(2)ストレスが小さく、(3)実害が小さい、が「良い節約」の3カ条だと思われる。

 家賃、生命保険料、通信費のような固定的支出の見直しは、一度実行すると確実に支出を減らせる。その上、案外ストレスがなく、やってみると困らないことが多い。通信費の削減は耳にタコができるくらいの節約術の定番だが、携帯料金の引き下げが菅内閣の看板政策の1つでもあるので、まだの人はやってみるといい。

 筆者の知り合いに、テレビを廃棄して受信料の支払いを不要にするという大胆な固定費の見直しを実現した人がいる。テレビはなくても困らないし、時間の余裕も生まれたと言っている。なかなかの大技だが、まねしてみたい気もする。

 良い節約の原則から外れるのは、食費の節約だろう。何かの都合で外食などの機会が増えると節約効果が不安定になるし、食べ物の質を落とすとストレスを感じる人は多いのではないか。場合によっては健康を損なうこともある。もっとも、粗食の方が健康にいいという場合もあるので、これは人それぞれかもしれない。