アイシン精機、トヨタ御三家で株価出遅れも今後に期待したい2つのポイントアイシン精機が抱える今後の課題とは? Photo:123RF

トヨタ系大手部品メーカーであるアイシン精機の株価が、同じくトヨタ系のデンソーや豊田自動織機に対して出遅れている。夏場にかけて業績改善への期待から株価も回復したが、9月以降は停滞している。その背景を探ると、アイシン精機が挑むべき今後の課題が見えてくる。(みずほ証券エクイティ調査部シニアアナリスト 坂口大陸)

デンソー、豊田自動織機に対して
出遅れた「アイシン精機」の株価

 アイシン精機は世界5位クラス、日本でもデンソーに次ぐ売上収益を有する自動車部品メーカーである。トヨタ自動車(以下トヨタ)を主要顧客とし、2020年3月期の連結売上収益の61%を占めた。一方で、主力製品のオートマチックトランスミッション(同AT)においては、世界トップサプライヤーとして、日本はもちろん、欧米、中国の自動車メーカーへ供給、トヨタグループ以外への販売比率は60%と、顧客の多様化が進んできた。

 そのアイシン精機の株価がトヨタ系大手部品メーカーであるデンソーや豊田自動織機、またトヨタに対して出遅れている。

 2020年の各社の株価は4月にかけて大幅に下落した。中国に端を発した新型コロナウイルス感染拡大に伴う世界各国でのロックダウンなどの影響により自動車生産台数が落ち込んだことで、業績悪化懸念が台頭したためである。その後、中国や米国を中心に生産活動が再開し急速な回復に入ったため、夏場にかけて業績改善期待が高まるとともに株価もリバウンドした。

 アイシン精機の株価は、いち早く回復した中国市場において同社の稼ぎ頭であるATの販売が戻ることへの期待もあり、4月に付けたボトムからの上昇幅が相対的に大きかった。世界最大に成長した中国市場でAT販売を伸ばし高収益を得ていたことから、これまでも同市場の拡大局面で株価がアウトパフォームする傾向があった。