政府のポスト5G研究は省庁の利権に
学術会議問題は「支離滅裂の極み」

――新型コロナ対策以外の菅政権に対する考えを教えてください。

 携帯電話料金の値下げなど、超ミクロの政策しか出てきません。その姿勢が根本的に間違っています。携帯電話料金は、それは下げた方がいい。しかし、今回出された第3次補正予算案には、ポスト5Gに関する研究開発費が計上されています。本来、民間企業が研究開発に取り組むべき分野に税金を突っ込むわけです。

 民間の携帯会社に料金を下げろと言っていじめて、研究開発に回るべきお金を削らせておきながら、研究開発は税金でやる。税金でやるということはつまり、省庁が絡んで利権になるわけですよ。全体像としてやっていることがちぐはぐです。

――政府による一部会員の任命拒否が批判されている日本学術会議について、自民党のプロジェクトチーム(PT)は、政府から独立させるべきだといった改革案を政府に示しました。

(PT案が)何を言っているのかさっぱりわからない。もう今でも独立しているじゃないですか(笑)。独立させて、国から一定のお金を出すことも(PT案では)認めているわけですから、今と同じです。支離滅裂の極みだと思います。つまり、気に食わない会員を外したというミクロのミスを取り繕うために、構造問題にすり替えているだけです。

――特に菅政権下では、官僚が政権に対して萎縮しているといわれます。政治による官僚への人事権など権力行使の在り方は、どうあるべきだと考えますか。

枝野幸男えだの・ゆきお/1964年栃木県出身。東北大学法学部卒業。弁護士。93年に旧埼玉5区から衆議院議員に初当選。民主党政権で行政刷新担当相、内閣官房長官、経済産業相を歴任。17年の民進党分裂で立憲民主党を結成し、代表に就任。 Photo by T.U.

 私自身は直接の担当ではありませんでしたが、旧民主党などの政権時、内閣人事局制度を提起し、進めました。正直なところ、これだけ悪用されるとは思っていませんでした。深く反省しています。

 私も内閣官房長官を経験しましたが、各省庁の縦割りを解消することは必要で、官僚への人事権が官邸の権限の裏付けになることは否定しません。

 しかし、そもそも官邸は、各省庁がモチベーション高く仕事をした結果、全体として適合しない問題が生じたときに解決に動くべきです。ところが菅政権は、全部一から官邸でやろうとしている。それは無理なんです。どこの国でも、基本的には省庁に仕事を任せた上で、どこかで総合調整をしていますよ。

 官邸で何もかも仕切って、全省庁を下請けに使うのは無理です。一刻も早くわれわれが政権を取り戻し、是正しなければなりません。

――消費税に対する立憲民主党のスタンスを教えてください。

 中長期的には、現状からさらに増税をすることは国民の理解を得ることも踏まえて不可能です。過去30年間、高額所得者の所得税や、内部留保をためる企業の法人税が減収になっている。それが、消費税によって穴埋めされている。これは、本来の消費税の目的とはかけ離れており、国民の(消費増税への)理解が得られないのは当たり前です。税制の最大の課題は、高額所得者や内部留保をため込んだ企業にしっかりと税金を納めていただくことです。

>>(下)はこちら

>>後編『「天皇制、安保で共産党とは異なる」 枝野幸男・立憲民主党代表に聞く(下)』を読む