枝野幸男Photo by Toshiaki Usami

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、「Go Toキャンペーン」への対応などによって、菅義偉内閣の支持率は12月に急低下した。野党第1党として、コロナ禍でどのような問題提起をしてきたのか。枝野幸男代表のインタビューを前後半でお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

政府は感染拡大防止策を何もやっていない
「Go To」中止で政府は全額、損害賠償せよ

――政府の新型コロナウイルスへの対応で、問題だと考える点を教えてください。

 これまで政府は、感染拡大と医療が逼迫するリスクを軽く見ていたと結論付けざるを得ません。安倍晋三政権から9月に菅義偉政権に代わり、一連の「Go Toキャンペーン」など、感染が落ち着いてからやるべき施策は若干やりました。ところが、感染拡大そのものの防止や、医療体制を守るための政策は全く何もやってこなかった。

 もともと冬になれば感染は再拡大するといわれていましたし、Go Toトラベルなどで人の移動や接触が増えれば感染リスクが高まることも予想されていました。

 従って、もう、これは人災だ。専門家やわれわれの懸念を無視してこういう状況になったわけだから、これはもう完全に人災だと思います。

――野党として、これまで政府に対し、どのように対処すべきだと訴えてきましたか?

 まず3月には、PCR検査を飛躍的に拡大すべきだという法案を出し、繰り返し訴えてきました。春先は物理的に検査を増やせなかったのでやむを得ませんが、今では保健所を通さずに民間で実施している検査も多数ある。検査を増やすことは十分可能であると証明されています。

 また、医療従事者や介護職員などリスクが高い人々への検査を実施し、無症状で濃厚接触者でない人でも可能な限り感染者を見つけていくことが必要だと、今まで一貫して申し上げてきました。これらをいまだにやっていないことも決定的な失敗です。

 そして、医療機関に対する支援が必要です。これまで補正予算で組んだお金が現場にたどり着いていません。医療機関に対し、支援にいろいろな条件を付けすぎたためです。そのため、コロナ患者を受け入れている病院や、高度医療を行う救急病院も経営が苦しくなっています。早く医療現場にお金が行き渡るようにすべきです。

――営業自粛を要請された飲食店などへの支援は十分でしょうか。

 自粛要請する以上は休業補償をすべきだと早い段階から申し上げてきましたが、政府は一貫して補償に否定的です。

 Go Toトラベルキャンペーンを中止するか否かで政府が右往左往した結果、飲食店や観光・旅行業界はむしろ、書き入れ時である年末年始にキャンセルが相次ぐという事態に陥りました。より大きな打撃を受けたわけです。これは政府の失態によるものです。

 飲食店や宿泊施設だけでなく、そこへ商品などを納入する業者も含めて広範囲に損害が発生しています。彼らに生じた損害を全額、政府が賠償すべきです。

 Go Toキャンペーンに関わらない業種でも、足元の感染拡大によって客が急激に減少するという事態が起きています。第2弾の持続化給付金が必要だと思います。予備費が6兆円近く残っているので、予算措置はいらない。すぐに手続きを進めるべきでしょう。