2020年、未曾有のコロナ禍が日本を襲来した。21年も経済の完全回復の目処が立たない中で、メガバンクグループはどんな役割を果たすのか。特集『総予測2021』(全79回)の#21では、三菱UFJフィナンシャル・グループの亀澤宏規社長に21年の予測と注力分野を語ってもらった。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)
三菱UFJトップが語る2021年
アフターコロナの到来は「1~2年」遅れる
――2021年はどのような一年になると予測しますか。
2021年を、真のウィズコロナの一年にしないといけません。20年に進んだデジタルシフトは来年も進展しますし、顧客の行動や私たちの働き方も変化しました。21年は、20年に起きた変化を安定化させることになるでしょう。
世界中で分断という議論が出ていますが、私自身は、今の戦いは人類対ウイルスという構図だと理解しています。人類の中で分断していては絶対に勝てない。人類が賢く団結し、真のウィズコロナの状況をつくり出せれば、21年の経済にも十分希望があります。
21年は、全国一律の自粛要請というものすごくネガティブな局面は来ない前提と、ワクチンが完成してウイルスから完全に解放されるというものすごくポジティブな状況もない前提の、二つの前提を据えています。どちらかに振れる可能性もゼロではないですが、その間の状態になるでしょう。
こうした前提に立つと、コロナを完全にコントロールしたアフターコロナが訪れるまで、想定より1~2年遅くなり2~3年かかるとみています。ただ、ウィズコロナのやり方がだんだんと見いだされていることには大いに希望が持てますし、新しい産業やアイデアが出てくれば、経済全体の動きが回復する可能性はあるでしょう。
私たちがやるべき役目は引き続きあります。企業で資金需要や資本面の課題が出てきて、顧客ごとに求められるソリューションが異なります。その場面で、私たちが強靭ではないと企業をサポートできず、この強靭性が社会に安心感を与えると思っています。
――菅義偉首相がデジタル庁の創設を打ち出すなど、2021年は官民を挙げたデジタル化の加速が予測されます。デジタル化の取り組みや、その波及効果についてどう考えますか。