孤独のあまり、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の予防行動をとれない――。2020年9月、そんな切ないオンライン調査の結果が、早稲田大学の研究グループから出された。
同グループは、18歳以上の男女を対象に20年4月と5月にオンライン調査を実施。孤独感とCOVID-19に関する予防行動との関連を分析した。
解析対象は2000人(18~39歳が604人、40~59歳が722人、60歳以上が674人、男女比はほぼ半々)で、解析に際しては、性別、年齢、所得・教育水準や家計、雇用状況などの影響を調整。
その結果18~39歳、40~59歳の若年層と現役世代で孤独を感じていた人は45%を超えた一方、60歳以上は3割にとどまった。
また主観的な孤独は、COVID-19の予防行動に「負」の影響を及ぼすことが判明している。具体的には孤独感が強いとマスクの着用や「3密」を避ける、手洗いなどの予防行動が減少したのだ。
この調査が「第1波」真っただ中に行われたことを考えると、「第3波」の現在は、孤独感がさらに増し、適切な予防行動を妨げている可能性が高い。
孤独を感じる要因は、年代ごとに特色がある。オランダでおよそ2万6000人を対象に行われた調査からは、19~34歳の若年層では「友人と接触する頻度の低下」が孤独感を招く要因であることが判明している。一方、35~49歳では仕事の状況と家族との関係が、50~65歳では自身の健康問題が孤独感を強める要因だった。
同調査の研究者は「若者たちは、COVID-19の影響で友達や同級生と会えず孤独に陥っている。年代別に孤独への対処を考える必要があるだろう」としている。
若者の行動様式が何かとやり玉に挙げられるが、見えない将来への不安を共有する友達や仲間と集まり「自分は一人じゃないんだ」と安心したい気持ちはよくわかる。
多少ともストレス耐性がある「いい年の大人」は、寛容を心がけつつ「節度ある交流」を若者に勧めてほしい。もちろん、自分自身が実践したうえで。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)