「おまけ」の出しどころを
事前にプランしておく

 依頼者から「部屋の家具はかなりこだわって購入したものなので、離婚後も使いたいが、妻は怒り心頭なので拒否するだろう。しかし慰謝料を払うと余裕がなくなるので、新たに買う余裕がない。なんとか家具は自分のものにならないか」と要望がありました。

 しかし、先輩弁護士は、相手の代理人との交渉では一切家具の話はせず、慰謝料の件だけ交渉していました。

 厳しい交渉が続きましたが、ようやく慰謝料額で折り合いがつきました。代理人もほっとした様子を見せています。

 そこではじめて「忘れていました! 大変申し訳ありませんが、今使用している家具は頂けますか? 慰謝料を払うと新たに買うことができないらしく……。その分慰謝料を減らすこともできませんし……」とこちらの要望を伝えたのです。

 代理人はあからさまに「いまさらそんなことを言われても……」という顔をしていますが、せっかくまとまった交渉を台無しにしたくないと思ったのでしょう。「持ち帰って検討します」と返答してくれました。

 予想通り、妻はかなり抵抗を示したらしいのですが、代理人が強く説得し、最終的に家具は夫のものになることに決まりました。

 この先輩弁護士は、条件の交渉をする際には「小さな、しかしこだわりの条件」はかならず最後に心から申し訳なさそうな顔をしておずおずと提示しています。ほとんどの場合、相手はしぶしぶ応じてくれるそうです。

 これが賢い「おまけ」のつけ方ですが、決して行き当たりばったりでできることではありません。値段交渉ならば、交渉の初期段階では、もちろん希望の値段に持っていく道を探るのが正解です。

 しかし、どう攻めても相手が引かないとなったら、作戦変更。「値段以外のところで、こちらの有利になるポイント」を突くほうへと持っていきます。

 つまり、このテクニックは、事前のプランありきということです。