総予測#65

2021年の消費キーワードは何か、ビジネスチャンスはどこに隠れているか。特集『総予測2021』(全79回)の#65では、「おひとりさま」「草食系(男子)」などを世に広めた世代・トレンド評論家の牛窪恵氏が登場。掲げるキーワードは“セルフ発酵”だ。(ダイヤモンド編集部論説委員 小栗正嗣)

「週刊ダイヤモンド」2020年12月26日・2021年1月2日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

危機が喚起した消費者の願い
「健康でありたい」「内面を育みたい」

 2021年の消費のキーワードは“セルフ発酵”だと思います。

 これは、うわべを気にして着飾ったり、盛ったりするのではなく、自身が持つ“素っぴん力”を高めたい、自分の内面を育みたいという志向です。

 東日本大震災のときも同様だったと思うのですが、新型コロナという危機は多くの人に「自分自身の素の力、自力がどれほど重要なのか」を意識させました。

 素っぴんというキーワードから、まず皆さんがイメージするのは化粧品、コスメでしょう。事実、コロナ禍による「巣ごもり」とマスクの影響で口紅やファンデーションなどメーク用品の消費はあっという間に落ち込みました。

 その一方で、文字通りの素っぴんをケアするスキンケア用品、基礎化粧品はいずれ必ず伸びるだろうと私は思っていました。実際のところ今、スキンケア用品の消費はコロナ前を上回っています。

 過去の歴史は消費の先行きを読むヒントをくれます。東日本大震災の危機のとき、他に何が起きたでしょうか。