ワークマンとルイ・ヴィトンの共通項

内田:ワークマンの戦略は非常に整合性が高い。定番製品しか扱わないということは、売れ残る可能性がないわけです。つまり値下げ販売しなくてもすむ。

土屋:値下げ販売は最初に買っていただいたお客様に失礼だと思っていますから。

内田:この戦略をとる代表的な会社は、ルイ・ヴィトンです。

ファッション業界は、売れ残りをバーゲンにするのが当たり前なのですが、ルイ・ヴィトンは一切バーゲンセールをしないし、アウトレットにも出さない。なぜそれができるか?

基本的に定番アイテムしか扱ってないからです。去年も今年も来年も同じなので、安売りする必要がない。

土屋:同じ考え方がワークマンにも当てはまります。

内田:製品戦略1つとっても非常に理にかなっています。

定番アイテムを絞り込めば大量生産になりますから、コストダウンになりますし、お客さんから見ると価格が安くなります。

一方で、価格が安いだけだと差別化にならないので、そこに高い機能性を加えて差別化。これが顧客ニーズにマッチしている。彼らは単に安いものを求めているわけでもなく、それぞれの目的に合った機能性の高い商品を求めています。

ワークマンの戦略は、この連載でも触れた「ジャパネットたかた」と同じで、どの部分から語り始めても全体像が語れます。非常に整合性が高い。これが多くの企業にとってとても勉強になる部分だと思います。個別のプロモーション戦略が優れているとか、製品力があるとか、営業力があるとかなどはあまり大事な要素ではなくて、それより全体として整合性があるかが極めて大事であると思います。