EVは水や低温に弱い?

 EVは水没や雪に弱いと思っている人も少なくない。冬場のバッテリー上がりなどを経験していると、低温や雪でEVはまともに走るのか不安になる。また、300Vから400Vの高電圧でモーターを回すEVは、水に濡れたら感電するのではないか、電気製品は概して水に弱いので心配だ、といった声を聞く。

 しかし、さすがに水や低温を想定しないでEVを開発するメーカーはいない。リーフは発売から10年を経過している。テスラのEVも世界中で走っているが、雪で動かない、洪水で感電したというニュースは聞かない。エンジンのような吸排気系がない分、むしろ水には強い。それにプリウスなどストロングHVと呼ばれる車のバッテリーも400V前後と高圧だ。容量こそ少ないが、これも破裂事故、感電事故が問題なったことはないはずだ。

 車両火災事故は年間3600件前後(放火含む)と言われているが、出火原因は排気系の熱やオイル類の発火が多い。電装品バッテリーのショートという原因もあるが、EVやHVに搭載されるバッテリーやケーブルは厳重に絶縁され、端子などは露出していない。ブレーカーや保護回路は衝突時にも働くようになっている。そしてEVには排気管などないし、エンジンオイルやトランスミッションオイルもない。EVのバッテリーだけ危険とするのは迷信に近い。

 最近の豪雪では、立ち往生した車両がニュースになることが多いが、こうした事態ではガソリン車に歩がある。テスラ モデル3のヒーター消費電力は3kWhというユーザー報告がある。フル充電で約1日耐えることができる計算になる。ガソリン車のアイドリング燃料消費(エアコンOFF)は1日約18L(省エネルギーセンターの試算から算出)。ヒーターをONにしたとしてもタンク60Lなら3日は耐えられるだろう。

 ただし、ガソリン車なら雪の立ち往生で万能というものでもない。ガソリン車でも燃料が少なければ同じだ。EVでも2日前後ヒーターを効かせることは可能という試算・シミュレーションもある。また、現実問題として大雪立ち往生の車内リスクは、凍死よりも一酸化炭素中毒だ。EVの場合、排気ガスの逆流の心配はないので、マフラー除雪の必要はない。

給油と充電の違い

 EVにおいて最大の懸念は航続距離と充電作業だろう。液体燃料に慣れた我々は、航続距離がいくら伸びても出先ですぐに給油できないと不安になる。だが、これに関しては、補給の考え方を変えるしかない。

 といっても難しい話ではなく、慣れと利用スタイルの問題だ。EVを所有してみると、いざというときに急速充電器が見つからないというトラブルはほとんどないことに気づく。ナビや案内アプリもあるので、コンビニ、道の駅、ディーラー各社など慣れない土地でも発見は簡単だ。自宅充電が可能なオーナーなら、ぎりぎりでも戻れるなら外充電はしないこともある。

 ルートや時間が制限されるかもしれないが、休憩時間や立ち寄り地をうまく利用すればロスは少ない。むしろ途中でガソリンスタンドを探したりする必要がなくなる。慣れない土地で高いガソリンを買わされる心配もない。慣れればスマホと同じで、1日分の電池がもてば不便を感じることはない。それでも充電は面倒だという人は、ガソリン車やHVが向いている。

 ただし、HVやPHEVが燃費性能を追求すればするほどガソリンスタンドビジネスを苦しめることにもなる。ガソリンスタンド数の減少は、車の燃費向上だけが原因ではないが、ピーク時6万件あまり(1994年)から現在は3万件を下回る(2019年)まで減っている。地方や過疎地では老朽化した地下タンクや設備を更新できなくて廃業せざるを得ない状況が続いている。