また、ビジネスホテルとは異なり、パジャマやタオルといった備品が常備されていない施設がほとんど。このような条件の下、ランニングコストが低く抑えられることから、会員になれば素泊まり1泊3000円前後からと破格のコストで宿泊が可能だ。

 低価格で宿泊することができる上、宿泊客同士の交流も楽しめる。2つの利点で当時の若者に支持されたユースホステルだったが、就寝時間が厳密に定められ、館内での飲酒が禁止されるなど決まりごとが多く、独特の宿泊スタイルが時代にそぐわなくなったことから、1974年頃をピークに宿泊客は減少。全盛期には約590カ所もの施設があったが、現在はその半分以下となっている。

人気再燃するも
コロナ渦でピンチに

 90年代以降はすっかり忘れ去られた存在となっていたが、ここ数年、旅行好きを中心に注目を集めている。人気再燃の背景について松鳥氏はこう語る。

「2000年代に入ると、ユースホステルと似た特徴を持ちながら館内ルールが比較的緩い、ゲストハウスがブームを巻き起こしました。しかし利用者の増加に伴い、エチケットを守れない人が続出したことから、近年は細かい宿泊ルールを設ける所が多くなっています。他方のユースホステルでは、かつてのような決まりごとを廃し、より自由度の高いルールで運営する施設がここ数年で明らかに増えました。それにより、かつてよりも格段に利用がしやすく敷居が下がったことで人気を集めているんです」

 しかし、再び脚光を浴び始めたのも束の間、2020年は新型コロナウイルスの影響で再び苦境に立たされることに。国の観光支援策「Go Toトラベル」の全国一斉停止のあおりを受けて利用者はさらに激減し、全国約220カ所のうち、営業中の施設は146カ所(2020年12月現在)にとどまっている。

 コロナ渦で苦しい立場にあるユースホステルだが、経営危機を救うために実施されたクラウドファンディングでは、目標金額をはるかに超える支援を集めることに成功。また、現在休業中の施設の多くはSNSを通じて宿の状況をリポートしており、来るべき営業再開へ向けて前向きな姿勢を見せている。