しかし、このデータについてMarks氏とHahn氏は、「接種量を半減した人の数は極めて少なく、追跡期間も短いため、ワクチンによる抗体反応が持続して得られるかどうかは不明だ」と指摘。第3相試験でも、ファイザー社/バイオエヌテック社製ワクチンの試験参加者の98%、モデルナ社製ワクチンの試験参加者の92%が、3週間ないし4週間の間隔を空けて2回接種したこと、また、2回目のワクチンをこの間隔で接種しなかった人に対する追跡期間は短かったことに言及している。
米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のAnthony Fauci氏も、ワクチンの使用量の変更は人々に混乱をもたらすと指摘。「現時点での課題は、ワクチンの量の不足ではなく、ワクチン接種の効率化をいかに高めるかだ」と話している。
なお、英国ではより感染力の強い新型コロナウイルスの変異種の流行を阻止するため、1月にイングランドとスコットランドで3回目のロックダウンが始まった。こうした中、同国の当局はファイザー社製のワクチンの接種間隔を21日以上に延ばすことと、2種類のワクチンの組み合わせでの接種を許可することの検討に入るとの見解を示した。しかし、Hahn氏とMarks氏はこれらの方針に対して、「入手可能なデータに基づけば、承認されたワクチンは決められた用量と接種スケジュールで2回使用するべきだ」と否定的で、「ワクチンの供給範囲を広げたい気持ちは理解できるが、安全性は保証されていない」としている。
米国ではコロラド州、カリフォルニア州、フロリダ州に続き、ニューヨーク州でも新型コロナウイルスの変異種が見つかった。専門家らは、既にこれら4州以外にも変異種の感染が広がっている可能性が高いとの見方を示している。
変異種は従来のウイルスより感染力が50〜70%強いとみられているが、致死率や重症化リスクに関するエビデンスはまだ得られていない。ただ、感染者数が急増すれば重症患者が増え、病院を圧迫する可能性が危惧される。その一方で専門家らは、ワクチンは変異種に対しても効果があると説明している。(HealthDay News 2021年1月5日)
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