証券会社の選び方

 では、実際に何から手をつければよいのでしょうか。

 やることはシンプルです。

 まず、金の現物、金を含む4つの貴金属のETF、ビットコインを積立投資していくための口座を作ります。

 金の現物投資は、純金積立サービスがある地金商や証券会社に口座を作ります。その際のポイントとしては、積立だけでなく、スポット購入もできる会社を選ぶのがよいと思います。

 コモディティは基本的には積立で増やしていきますが、積立に慣れてきたら、「安い」と思ったときに買い増ししたり、臨時ボーナスを手にするなどして余剰資金が増えたときに追加購入したりすることがあるかもしれません。そのようなときに、スポットでも買える口座のほうが便利なのです。

 ちなみにスポットは「その場」「その時点」という意味の言葉で、言葉のとおり、そのときの値段で、ほしい分だけ買うことを指します。

 さらに、貴金属のETFを買うために、証券会社の口座が必要です。投資先を分散するためにドル建ての商品も買いたいので、米国株が買える証券会社を選ぶとよいでしょう。

 ビットコインは、仮想通貨の取り扱い業者で口座(ウォレット)を作ります。

 いずれの商品も長期で積立てるため、購入回数が多くなり、保有期間が長くなります。そのため、購入の際にかかる手数料はなるべく安いほうがよいですし、毎年かかる口座管理料についても、他社より安いか、できれば無料の会社を選ぶとよいでしょう。

毎月の投資額を決める

 次に、月々の家計の状況、貯金額、直近で大きな支払いの予定があるかどうかを確認して、毎月の積立額を決めます。

 口座と月々の投資金額が決まったら、ぼんやりでよいので積立の期間を決めます。

 私がおすすめする長期投資は、基本的には老後の生活資金を作るためです。そのため、定年して仕事を引退するまで15年あるなら15年くらい、20年なら20年くらいと設定すればよいでしょう。

 仕事を引退すると、ほとんどの人が年金だけでは足りず、貯蓄を切り崩しながら生活費を捻出することになります。その状況で金を積立てていくのは難しいでしょうから、ここが積立終了の目安になるだろうと思います。

 月々の積立額と引退するまでの年数を掛け算すれば、老後の生活資金としてどれくらいのお金を準備できるかも把握できるでしょう。

 総額を計算してみて「意外と少ないな」と思うのであれば、少し生活費を切り詰めるなどして積立に回すお金を増やしてみましょう。

 ちなみに、積立期間と積立終了時の資産は把握しておいたほうがよいと思いますが、積立てた資産の使い道は考えなくてよいと思います。

 積立が終了しても、そのときまでに積立ててきた金などの資産を現金化する必要はありません。

 年齢を重ねるほど投資する必要性は下がり、金や株のように価格変動する投資商品より現金を持つほうがよいといえますが、そうは言っても手持ちの投資商品がゼロになることはないでしょう。資産が現金のみになればインフレリスクが大きくなります。

 そう考えれば、老後の生活費が足りなくなった場合は必要な分だけ現金化してもよいと思いますが、切り崩さなくてよい分については、無理して現金化せず、「保険」として半永久的に持ち続けてもよいと思います。

 私自身も、金などの投資資産を現金化する予定は決めていませんし、使い道も考えていません。

(本原稿は『ゴールド投資──リスクを冒さずお金持ちになれる方法』からの抜粋・編集したものです)