大塚氏「去年(2019年)の九月以降に購入したETFの総額と、そのブレークイーブンポイント(損益分岐点)は大体1万9000円程度で変わりがないか確認をさせてください」

黒田総裁「昨年の十月以降のETFの買入れ額の累計額は二兆四百四十二億円となっております。(中略)

 公表した正式のデータはありませんけれども、やや粗い計算を、この先ほど申し上げたETF買入れの実績等を用いてラフに計算すると、2019年9月末時点と比べると500円程度切り上がっている可能性があると思いますが、まだこれは正式のきちっとした数字ではありません」と回答している(参議院財政金融委員会議事録より)。

 要するに、3月10日の時点では、1万9500円が損益ゼロのポイントであったということになる。この日の日経平均は1万9867円で、まだ安泰、急落するのはその1週間後であった。その急落も持ち直し、2020年3月末の日経平均は、1万8917円で着地しており、日銀は大きな損失を計上しないで済んだ。

日銀は
いくら運用益を上げたか

 ここで、少しややこしいが、日銀の決算のルールを言及しておく。

 日銀は、上半期、下半期にBSとPLを作成する。ETFは、時価が取得原価(帳簿価格)を下回ったら、その金額を取引損失引当金として特別損失に計上することが定められている。だから、2020年3月末に日経平均が大きく下がり続けていたら、日銀は兆というお金を引当金に計上する必要があったのだ。

 一方、もし、時価が上回る場合は、要するに儲かっている状態だが、運用益(評価益)としては計上しない。経常収益には、分配金による運用益だけをPLに計上する。

 なお、日銀は、複数の指数型のETFを買い入れしており、その買い入れ比率はETFの時価総額に比例させている。2016年以降はTOPIX型のETFを中心に買っているのだが、TOPIXと日経平均はNT倍率という倍数で変換すると相互に変換できるので、ここでは、日経平均だけを基準に損益を見てゆく。

 なお、日銀は半期ごとにETFの時価情報を公表していて、こうした情報を集計すると、誰が計算しても同じ結果となる。2021年1月時点で、簿価ベースで35.5兆円ものETFを持つに至っている。簿価ベースでの日銀のETF残(=株式購入高)の推移をみてみよう。