セールスフォース新型コロナウイルスの感染拡大前に行われていた、新入社員向けのワークショップ 写真提供:セールスフォース・ドットコム

近年、働きやすさや仕事のやりがいを兼ね備えた「働きがいのある企業」への関心が高まっている。働きがいを感じる要素は人それぞれではあるものの、「働きがいのある企業」として多くの社員から評価されている企業にはどのような秘密があるのか。本連載では、働きがいのある企業の共通点を、実際に人事担当者に取材することを通して探っていく。

初回は、OpenWorkの『社員が選ぶ「働きがいのある企業ランキング2021」』でも2位にランクインしたセールスフォース・ドットコムに話を聞いた。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)

4つのコアバリューが全ての根幹に
社員は人事部門にとって「お客さま」

 セールスフォース・ドットコムは、1999年に米国のサンフランシスコで創業、2000年には日本法人が設立された、顧客管理システムソリューションを中心にクラウドコンピューティング・サービスを提供する企業だ。

 企業理念や企業文化への共感を得られる組織では、社員の内発的動機が高まり、その理念の下で行われる業務には、社員もやる気を持って取り組むことができるという。つまり、働きがいのある組織には、共感の得られる企業理念・文化が必要になる。セールスフォースでは、この社員から共感を得られる企業理念の浸透に、非常に力を入れている。

 同社では、独自の企業文化を作り上げるための要素として、「4つのコアバリュー」を大切にしてきた。それが、「平等」「信頼」「カスタマーサクセス」「イノベーション」だ。同社常務執行役員で人事本部長の鈴木雅則氏は、「いろいろな人事施策を考える際、何かあればこの4つのコアバリューに立ち返っている」と話す。

 また、働きがいのある企業に欠かせないのが、社員にとって働きやすい環境の整備だろう。

「私たち人事部門の英語での名称は『エンプロイーサクセス』になっており、従業員は私たちのお客さま。従業員を支えて成功に導くことがミッションだと考えている。また、私たちの会社にはハワイ語で『家族』という意味のOhanaというカルチャーがあり、従業員に限らず、お客さまを含めた関わる人々全てがOhanaのメンバーという認識がある。その関わる全ての人の成功を実現させていくための前提として、従業員が自分らしく働けることが重要と考えて、従業員を支える施策を行っている」

 同社が働きがいのある企業として社員から評価されているのには、さまざまな理由が考えられるが、今回はポイントを4つに絞って紹介していこう。

<働きがいのある企業のポイント(セールスフォース・ドットコム編)>
(1)社会貢献
(2)情報の透明性
(3)従業員教育の充実
(4)働きやすい環境整備