日本は製造業の競争力があるといわれて久しいですが(もはやその印象も薄れていますが)、日本を代表するメーカーであるトヨタ自動車もリーマンショック時には営業損失を計上することになりました。
リーマンショックによる影響がさまざまな産業に波及していた2008年の年末に近い頃、私は自動車メーカーの生産設備向けロボットを納入する機械メーカーの決算説明会で、その会社の社長に「トヨタが今期、赤字になったら御社はどのような対策をしますか」と聞きました。まだトヨタが赤字の決算予想を発表する前でしたが、その社長は「トヨタが赤字になることはないでしょう」と笑いながら答えました。
その後、しばらくしてトヨタは赤字の業績見通しを発表することになりました。当時は、自動車産業の関係者でも、トヨタ自動車が赤字になるなんてことはありえないという思いが強かったのです。
トヨタ自動車は、生産が「リーン」(無駄がないこと)だといわれ、あらゆることに機動的に対応できると思われていたわけですが、有事には対応しきれなかったのです。
一方で、事業内容は一見、地味ではあるものの、リーマンショックの影響を上手にやり過ごしてきた企業も多数存在します。リーマンショックのあとでも当期純利益を計上してきた企業です。
当期純損失は株主資本を棄損します。株主資本が減ってしまうことを株主は決して喜べません。最悪の事態に対して、株式投資家は減益を受け入れざるをえませんが、それでも利益を出し、株主資本を積み上げることができる企業は投資家にとって宝物なのです。
個人投資家のみなさんは、そうした企業のリストを用意しておき、なんらかのパニックで大きく売られたときに、いつでも買い出動ができるように準備しておくことをおすすめします。
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