それは、昨年のコロナ禍がきっかけで、人々の春節の過ごした方も「新しい様式」になったからだ。
昨年は春節後から感染拡大が深刻になり、予定していたイベントが急遽中止になることが多かったが、今年はやや違う。春節期間に感染が拡大した昨年の教訓から、中国政府は春節前から「あまり集まらない、あまり会食しない、あまり訪問しない」というスローガンを発して、不要不急の親戚訪問や会食の取りやめを呼びかけた。北京市は、会食するなら10人以下、2時間以内にすることという“基準”を決めた。
政府の呼びかけや人々の健康に対する意識の変化もあってか、筆者の周りの中国人には「親戚訪問をしない」という声が少なくない。たとえばある中国人の友人は、「親戚に高齢者が多いので、万一を考えて電話での挨拶にしました」と言い、他の友人も「今はこんな時期ですからね。家でじっとしています」と言った。
こうした人々の行動の変化は、伝統的な習慣にも変化を生じさせた。中国では親や親戚の家に「年貨(正月用品)」を持っていく習慣があるが、今年はネット上で注文して直接家に届けるサービスが広く利用された。2月14日付の人民ネットの報道によると、旧暦の大晦日から正月1日の2日間の宅配の配達量は1億3000万件で、人々の春節消費で宅配便が重要な役割を果たしていることがわかる。
今年の「年貨」で最も売れた
意外な商品とは
ネット通販大手・淘宝網(タオバオ)が発表した『牛年十大年貨物報告』によると、今年の「年貨」で最も売れたのは、日本メディアが報じたように「麻雀卓」だった。中国人経済評論家の胡華成氏が2月4日に発表したコラムによると、売れ行きのよい「正月用品」はたいてい食べ物が上位にくるのだが、今年は麻雀卓の売れ行きがよく、1日当たりの売上は前年同期比130%増だった。
ある中国メディアの報道は、麻雀卓が売れた理由は親がたくさんの人が集まる会食などに出かけるのを阻止したいからだと分析する。麻雀卓があれば、家の中で麻雀をして楽しめるからだ。昨年、感染拡大が激しかったときも、家族での集まりをやろうとする老人を若者が説得したという話はネット上でよく見かけた。