岩崎氏は1985年入社。製品戦略部長、医薬営業本部長などを経て、15年からJPBUプレジデントを務めていた。JPBUは世界に四つあるグローバル事業拠点の一つで、傘下に国内営業部隊の医薬情報担当者(MR)を抱える組織。昨年には希望退職者の募集(社内におけるプログラム名は「フューチャー・キャリア・プログラム」)を実施するなどして、体制改革を行った。
岩崎氏は武田薬品の経営中枢を意味する「タケダ・エグゼクティブチーム」の一員でもある。同チーム18人のうち、日本人は現在わずか4人。そのうち武田薬品の生え抜き社員は岩崎氏と、グローバル ジェネラル カウンセルの中川仁敬氏のみだ。
後任の元金融マンは
次期CEO有力候補
複数の武田薬品関係者によると、新たにJPBUプレジデントに就任する外部出身の元金融マンは、「この数年間で劇的な変化を遂げた武田薬品らしい人物であり、優秀で、ウェバー社長兼CEOの覚えがめでたい」(武田薬品幹部)。重要ポストを後継することは、「ポスト・ウェバー社長兼CEO」争いの有力候補に躍り出たことを意味する。
武田薬品の2021年3月期連結売上高予想は3兆2000億円。「30年度までに売上高5兆円」という大きな目標を掲げる同社は、大規模な構造改革を継続して行っている。国内において長年「武田薬品の顔」となり、アリナミンシリーズなどを販売する大衆薬(OTC医薬品)子会社も、20年に米投資ファンドへの売却が決定した。
老舗日本企業から世界で戦うメガファーマへと激変する中で、今回の岩崎氏の退任は社内ブレーン入れ替えが最終形態に近づいたことを物語っている。
なお、ダイヤモンド・オンラインでは、国内事業トップに就任する元金融マンの人物情報などを『武田薬品の国内責任者に「次期社長候補・元金融マン」、生え抜き去る【スクープ完全版】』で詳報している。