ラーメン二郎系や家系のこってりスープもあれば、油そばのような汁なし系、担々麺につけ麺など最近のラーメンの流行はいくつかある。この数年、個人店でがんばっているのが、無化調、自家製麺、ダシは鶏と豚ガラと煮干しのミックスという淡麗しょうゆ味のラーメンだ。白いのれんに墨字の屋号の店が多いのは、清潔なイメージを出すためか。胃に染み入るやさしいおいしさで、体にいいなあと食べて感じる。
驚いたことに、再現された来々軒のラーメンはほぼその味、今どきのしょうゆ味だったのだ。100年たって先祖返りしたのか、それとも、ラーメンとは本来そういうものなのか。
新横浜ラーメン博物館が考える
100年後のラーメン
新横浜ラーメン博物館の名物館長で同社代表取締役の岩岡洋志氏と、同社で長年働くプロジェクト課課長の中野正博に、100年後のラーメンを想像してもらった。
岩岡氏によれば、まず考えるべきは「100年後、人口が100億人を超えて気候変動も激しい。そういう未来でどんなラーメンが食べられているかということです」。
確かに人口増や環境の変化はラーメンに影響するだろう。昆虫をダシにしたラーメンも今はゲテモノだが、未来ではそう珍しくないかもしれない。
「ラーメン自体は大きくは変わらないと思います。しょうゆ、塩、みその基本も変わらないでしょうし、使用食材や保存方法、調理方法の変化はあっても、スープと具材という形も変わらないでしょう」(岩岡氏)
一方で日本は人口が減って7000万人ぐらいと予想されている。経済を回していくのに全然人手が足りない。そのため、移民を入れることになれば、各国でローカライズされたラーメンが日本に逆輸入され、日本国内に広まる可能性がある。
こうしたローカライズされたラーメンの普及の一方で、岩岡氏は100年後には多くのご当地ラーメンが消えることを懸念している。