企業の海外大生採用手法は
「スカウト型」に変化する?
周氏によると、同社で海外大生向けの取り組みを開始したのは、もともと学生サイドの需要ではなく、新型コロナの感染拡大が始まった2020年3月頃に企業側から海外大生に関する問い合わせが増えたからだという。
「これまでボストンキャリアフォーラムに参加していたようなメーカーや商社、ベンチャーITなどから、当サービスを利用する海外大生がどれくらいいるのかという問い合わせが増えた。ボストンキャリアフォーラムのオンライン開催で、海外大生の採用手法が変わることが大きく影響しているのではないか」(周氏)
現在では周氏が中心となって、事前に海外大生のスケジュールを確認した上で、企業人事担当者1人と学生7人ほどの少人数制の企業説明会を定期的に開催しているという。
「帰国している人であってもオンライン授業を受けている人も多いことから、国別に時間を分ける、18時以降の開催、土日開催などをベースにしている。現地時間の朝5時から参加するカナダ在住の学生もおり、意欲は高いと感じている」
語学力は武器にならない!
日本人留学生が力を入れるべきことは?
では、海外大生を採用する企業側は、学生にどんなことを求めているのだろうか。周氏は「語学力は武器にならない」ときっぱり語る。
「企業が求めているのは、グローバルなマーケットに対する視野や、変化の激しいVUCAの時代を生き抜ける力。そのため、海外生活での苦労をどのように乗り越えてきたかというプロセスや学生自身の思いを見ている。さらに、あまり有名ではない海外大学についてはGPA(成績評価)を厳しく見る企業もあるので、学業には力を入れておかなければならない」
海外大生は、情報が十分にないこと、同じ状況で就活をしている仲間が近くにいないことで、自己肯定感が低い人も多いという。しかし、留学でのさまざまな経験をきちんと棚卸しして、論理的に話すことができれば、企業側にも適切に評価してもらえ、後悔のない就活につながるだろう。