30年前からフレックスタイム制!
先駆者ぶりが分かる勤務制度の歴史
働き方改革やコロナ禍によって、いよいよ多くの日本企業が受け入れ始めた多様な働き方だが、実はソニーは30年ほど前からすでにさまざまな勤務制度を導入して、社員が柔軟な働き方ができる環境を整えてきた。
まず1992年に導入されたのが、「月間フレックスタイム制度」だ。月間所定労働時間とコアタイムが設定されている勤務スタイルで、始業・終業時刻を選択可能。そのため、その日の業務内容に応じて労働時間を調整できる。今ではこうした制度を導入する企業も増えているが、30年前から導入されていたというから驚きだ。
94年には「育児・介護短時間勤務制度」、95年には時間より成果を重視する「裁量労働制」を導入。2008年には「在宅勤務制度(場所は自宅、回数は週1回、時間単位は週2回)」、16年には「テレワーク制度(場所にサテライトオフィスを追加)」、18年には全社員が場所を選ばずにテレワークを利用可能とする「フレキシブルワーク制度(回数は月10回)」が始まった。コロナ禍の現在では、回数制限なく、個々人が業務内容に応じて出社するかどうかを選択できており、約8割が在宅などテレワークでの業務を行っているという。
「こうした柔軟な働き方のできる勤務制度は、企業理念や文化にも紐づいており、自律して働くソニーの社員には合っていた。そのため、コロナ下でのテレワークについても受け入れやすい素地があったと考えている」(陰山統括課長)
1966年に導入された社内募集制度
「キャリアは自分で築く」のが当たり前
もう一つ、同社で先端的に導入されていたのが、上司の許可なく、社員自らが手を挙げて希望する部署やポストに応募できる「社内募集制度」だ。今でこそ多くの企業が導入しているが、同社では1966年と50年以上前から始まっている。
年間700人以上が応募しており、200人弱が異動。そのため決して特異な例ではなく、人事異動の一つの手段として機能している制度なのだという。人事異動をただ待つのではなく、自分でキャリアを切り開けるチャンスになっている。